カテゴリー4

花・水・木-その5-

通常のステンドグラスの制作は建築と似ている。最初にしっかりとした設計図を描いたら、出来上がりの様子はかなり正確に予測できる。エッチングや絵付けなどの加工作業が入る場合は少々事情が変わってくるけれども、それでも設計図の範囲内で収まることはまず... もっと見る

自分の頭の中にある想像だけで作品を創ることはできるだろうか? もちろんそれは可能だけれど、建築物と一体化するステンドグラス作品ならば、現地を見ないということが致命的なデザインミスに繋がる恐れがあると思う。だから僕はデザインをする前に必ず現地... もっと見る

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花・水・木-その3-

電気炉には5段まで棚を重ねることができる。しかし今回は作業の進め方を考慮して一度に3段ずつ焼くことにした。 焼成温度790℃設定で試し焼きをしてみたら、僅かにガラスが溶けすぎたので本焼きは780℃に設定する。 電気炉のスイッチをONにしてか... もっと見る

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花・水・木-その2-

少々乱暴な言い方を許してもらうなら、施主に提出した原画は目安にすぎない。特にフュージング作品の場合その傾向は強くなる。全体のコンセプトは守るが、細部のデザインを考えながらより良いものを目指して制作は進んでいくものだし、焼成後のガラスは色も形... もっと見る

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花・水・木-その1-

新しい仕事がスタートした。公共施設の外塀にアーティスティックなガラスを嵌め込み”彩りの壁”にしようという計画だ。 施主からいただいたお題は「花・水・木」、市木である「ハナミズキ」をもじったものだけれど、デザインのコンセプトとしてはシンプルで... もっと見る

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懐かしき庭-その15-

伝統的ステンドグラス技法で用いる鉛桟は、多少別の金属を混ぜることもあるが、基本的に鉛だけで出来ている。しかし1990年頃、その芯の部分に真鍮製の薄い板を仕込んだものが現れた。その板があまりにも薄く頼りないものに見えたので、鉄製の補強棒に代わ... もっと見る

ステンドグラスをどれほど正しく組み立てたとしても、それだけで十分な強度を持たせることはできない。鉛桟の寿命が尽きる100年後までそのままの姿を保つには”補強”が必要だ。 補強 鉛桟はその柔らかさによってガラスを衝撃や加圧から守ってくれるが、... もっと見る

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懐かしき庭-その13-

伝統的ステンドグラス技法では、組み立てに鉛製の桟を用いる。鉛は、その柔らかさ故に加工性に優れるだけでなく、耐候性や価格の条件も合致して、千年前のステンドグラス起源から現在まで変わらず利用されている。 組み立て ステンドグラスが他の絵画と最も... もっと見る

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懐かしき庭-その12-

絵付け作業の順番として、シルバーステイン絵付けは通常最後に行う。また、ガラスの裏側つまり外部に面している側に施すのが普通だ。その理由は二つある。 前にも書いたように、昔はガラスを焼くという作業が大変なことだったので、できるだけ焼成回数を少な... もっと見る

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懐かしき庭-その11-

グリザイユ絵付けが終わったら、もうひとつ別の種類の絵付けがある。通常日本ではシルバーステインと呼ばれている絵の具を使うのだが、フランス語ではジョーヌダルジャン(jaune d’argent)、”銀の黄色”という意味、文字通り銀を... もっと見る

紫色のガラスには、グリザイユの調子付けができないことが分かった。そのために多少作品の印象が変わるということに関しては、注文主のMさんにご了承をいただいたので制作を続行する。 紫色ガラスの調子付けをした部分は、失透化したガラスの層と共にすべて... もっと見る

物体を高温で熱するという作業には、時折想定外の変化が伴う。陶芸などにおいては、しばしばその結果が作者の期待するものと違ったりすることはよく知られていることだろうと思う。ステンドグラス絵付けの世界でも同様のことは起きるが、大抵は許容範囲内のこ... もっと見る

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懐かしき庭-その8-

「線描き」の焼成が終わって「調子付け」の作業に入る。現代のステンドグラス作家は、電気炉という大変便利な道具を持っているため、夕方にスイッチを押すだけで、翌朝には絵付けしたガラスが焼き上がっている。しかしかつて炉を熱するために薪を焚いていた時... もっと見る

エッチングが終わって、絵付け作業に入る。前回のブログで、ステンドグラスの起源は中近東であることを述べたが、そこからヨーロッパに伝搬しキリスト教と結びつくことによって大きな発展を遂げた。ステンドグラスを窓を塞ぐための建材から、何ものかを表現す... もっと見る

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懐かしき庭-その6-

納期が迫った別の仕事にしばらく専念していた。そちらが一段落したので、またこの仕事を再開する。 ガラスが一枚割れてしまい作り直す必要があった。それまでは効率よく仕事を進めてきたつもりだったが、ここで躓く。たった一枚のガラスのために数日間を費や... もっと見る