雑記帳

ライト風

2012年7月11日
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先月末のこと、北海道の真ん中よりちょっと南に位置する帯広市へステンドグラスの取り付けに行ってきました。

現場は豪邸と言っても良いくらいの大きくて立派な家で、そこの玄関ホールと居間を隔てる二枚のドアに取り付けました。札幌の設計事務所からの依頼でしたが、建物や調度の特色に合わせて、ステンドグラスは「ライト風に」という指示がありました。

「ライト」とは、もちろん米国の建築家フランク・ロイド・ライト(1867~1959)のことでして、彼の設計した建築物にはライト自身がデザインした幾何模様のステンドグラスが頻繁に使われていることは良く知られています。1923年に竣工した帝国ホテルにも使われていましたが、建物は1967年に解体、現在は愛知県の博物館明治村に中央玄関のみが残されており、ステンドグラスも見ることができます。

ステンドグラスの注文を受ける際に、「・・風に」と言われることはよくあることです。著作権の問題がなければ、そっくりそのまま作ることも可能で、むしろその方がすんなりとデザイン案が承認されるだろうと思います。しかしそれは一種の怠惰であり、大袈裟に言うなら文化や芸術に全く寄与しない制作態度です。ほんのわずかでもどこかに自分というものをねじ込んで表現することにより、新しい何かが生まれ、その作品を目にする人々に新鮮な活力を与えると信じています・・・なんてことを今回初めて思いつきました。

                                                                           

大きなドアの中央に設置した縦長のステンドグラス。

上部は連続した正方形の開口部に仕切られていて、つまり片面3枚のパネルが縦に並んでいます。

                                                                  

「ライト風」と「自分風」とがちょうど半分ずつくらいの割合で合体したデザインだと思います。

                                                             

                                                                               

                                                                                             
                                                                                          

両面から光が当たるので、質感の違いが際立たつようにガラスを選択しました。

上部には面取りガラスを、下部にはグルーチップガラスなどの型ガラスを用いています。
                                                                                     

                                                                                                                    

                                                                                                                                                                                                               

                                                                                           

                                                                                                    

                                                                                       

                                                                                                                                           目線の高さには菱形の赤色ガラスを3枚配し、中央のみ被せガラスを用いてエッチングしました。
                                                                                           

エッチングの図柄で注意を惹きつける効果があると同時に、左右2枚のパネルが全く同じものになるという退屈さを回避できます。

                                                                                                                                                                                              

                                                                                          

                                                                                                              

                                                                                                            

 

                                                                                                                                                                                  

                                                                                            
今年のビッグイヴェント”金環食”を記念したエッチングデザインです。

                                                                                         

                                                                                           

                                                                                                                      

この日は朝から30度を超える暑さ、新築の床に汗を落とさぬよう気をつけながらの取り付け作業でした。

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