雑記帳

眠りの構築

2008年10月21日
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最近十数年ぶりの不眠状態に陥っています。
結婚したのがちょうど20年前、それから2年後に長女が生まれて、その後さらに1年ほど不眠に苦しんだ記憶がありますから、17年ぶりということになるでしょうか。

最初に眠れない苦しみを味わったのは、小学校の低学年の時。そのころは家族4人一部屋で寝ていましたが、皆が寝静まった後、柱時計のコチコチという音を聞きながら天井板の節目を数えて朝を待ちました。

その後は小学校の6年生になって不眠が始まっています。アルコールが眠気を誘うと聞いて、夜中にこっそり台所へ行って、料理用のワイン(甘ったるい赤玉ポートワインでした)をちびちび飲んで、減った分は水を足してごまかしたりしましたが、長いこと続けたもので、ついに十二指腸潰瘍を引き起こして通院することとなりました。

中学1年生になってもまだ不眠状態が続き、精神的に限界に近づいていたように思いますが、このときぱっと目の前が明るくなるような転機が訪れました。それは精神科医なだいなだ氏の書いた本を読んだときでした。確か「不眠のすすめ」というタイトルだったと記憶しているのですが、現在そのタイトルで検索しても氏の著作としてはみつからないようです。記憶違いかもしれません。

なだ氏が言うには、「不眠症という病気は存在しない。眠れないということを苦にして悩むことから病気が始まる。起きている時間が人より長いのはむしろ利点だと考えて、その時間を有効に活用したらよい。本を読むことをお勧めする。毎日眠くなるまで本を読み続けたら、それはいつかあなたの貴重な財産になる」というような内容でした。

この言葉に励まされた僕はすっかり有頂天になって、氏の言葉通り、その日から毎日朝方まで本を読み続けました。その状態が中学から高校までの6年間続きましたから、読んだ本の数はかなりのもので、確かにそれはいろいろな局面で役に立ってきたと思います。

しかし少々困った副産物もいくつかありました。
ひとつは、あっという間に近眼になったこと。裸電球の下、寝床に入ったまま本に鼻がつかんばかりにして読むのですから無理もありません。
もうひとつは、学校の遅刻や欠席が著しく増えたこと。朝方に眠りにつくくらいなら良かったのですが、昼過ぎまで本を読み続けることもあり、親が僕に不干渉だったもので、留年の危機に何度も直面しました。
それから変わった読書習慣が身についてしまいました。同じ本、または似たような傾向の本を続けて何時間も読むと飽きるので、途中で気分転換に別の本を読んだりしているうちに、数冊から十数冊を平行して読むようになりました。そのせいで本の内容を混同して記憶しており、僕の頭の中では文芸作品と推理小説と科学読物が合体してひとつの作品になっていたりします。

適正な睡眠時間というのは人によって違うそうです。僕の場合は4時間半がベストだということを自覚しています。4時間だと睡眠不足、5時間だと過睡眠で頭痛がします。毎日この4時間半の眠りを確保できれば万全の体調でいられるのですが、これが何かの事情で連続して妨げられると、精神的、肉体的に変調をきたし始めます。

20年前に結婚した時は、他人との共同生活が始まって、どうしても自分のペースが守れず、さらに子供が誕生し、僕の睡眠周期はめちゃくちゃでした。寝不足と過睡眠を繰り返し、頭痛薬を飲み続けなければ、仕事はもちろん日常生活も維持できない状況でした。

ステンドグラス作品「眠りの構築」そのころにデザインした作品です。タイトルは「眠りの構築」。(部分。全体は6メートルの長さがあります。制作は1996年となっていますが、デザインはその数年前にできていました。展覧会出展作品を参照
張り詰めた心の上に、大小の眠りの因子がゆっくりと音もなく降り積もり、やがてあたりを埋め尽くして色も形もない世界を構築したとき、自分が眠りにつけるだろうという祈りのような心境をイメージしています。

その後僕が自分のペースを守れるようになったのは、引っ越したときに自宅と工房を別にしたからでした。それ以来十数年間調子良く過ごしてきたのですが、今年になって何故か眠れない日々が続いています。
かつてなだいなだ氏から教わったように、眠れなかったら起きてりゃいいのさと居直りたいところですが、中学生の僕と今の僕とでは、社会的責任と体力が違い過ぎます。

昨日は風邪で38度の熱が出たため夜9時に床に就きました。ぼんやりと目が覚めて時計を見たら夜中の1時、それ以上眠れないことは分かっていたので工房にやってきて、しばらく本を読んだ後この文章を書き始めました。
7時に自宅へ帰って家族と朝食、三女をバス停に送っていって再び工房に戻り、ハルの散歩をし食事をさせて、ちょっと掃除をしてから、今またパソコンの前にすわっています。

今日は教室の日、もう少しで生徒たちがやってきます。ふらふらの体とぼけぼけの頭でちゃんとできるんだろうかと、一抹の不安がよぎります。

熱いコーヒーでも入れるかあ~!、気合だあ~!!!

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