雑記帳

ステンドグラスの強度ーその2-

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あらゆる製作物の技法には一連の流れというものがあって、各工程の間には密接な繋がりがあります。ステンドグラスの組み立てからはんだ付け、パテづめまでは、それぞれが互いを支えあう一連の作業であり、出来上がったステンドグラスの強度と耐久性に大きく関わっています。

ケイムの頭を軽くつぶして、一方のケイムの溝に差し込みながら組み立てるという技法は、それだけでもパネルの強度に大きく貢献していますが、はんだ付けの段階でさらに大きな強度を得ることになります。
断面を図に描くと下記のようになります。

対して、下図のような突き合わせの組み立てでは、内部に隙間ができてしまい、強度を失ったり氷結などの不具合の原因にもなります。
残念ながら現在の日本のステンドグラス工房では、ほとんどこのやり方で製作しています。

次の工程”はんだ付け”において、差し込み技法によって正しく組み立てられたケイムの接合部分では、溶けたはんだが浸み込むように鉛と鉛の間に流れて溶着します。

下図、ピンク色の部分が溶着したはんだを表しています。
表面的には少ない量のはんだで済みます。

突き合わせただけの接合部のはんだはケイムの上に乗っかているにすぎず、衝撃や経年の割れに弱いため、ある程度の量を乗せなければなりません。

下図は、組み立ててはんだ付けをした実際の様子です。
突き合わせ技法の接合部(上)と差し込み技法の接合部(下)。
表面から見ただけでは、ほとんどその違いはわかりません。

しかしその内部にはあきらかな違いがあり、強度的にも大きな差異があることを実験により確認しています。


はんだ付けは、表と裏の両面から同じように行われます。

ー続く

 

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