雑記帳

光と陰

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雀のチュンチュンさえずる声で、もうすぐ朝が来ることを知ります。
それから恐ろしいほどに長い時間が過ぎて、家族の誰かが静かに立ち上がり、そっとカーテンを開けます。
何故か僕は起きていることを知られたくなくて、天井の羽目板を凝視したまま布団の中でじっとしています。
やがて目の前に最初の朝日が柔らかく射し込み、僕は太陽の光が細かな粒でできていることを発見しました。

これは僕が5歳か6歳ころの記憶です。
今でもはっきりと思い描くことができる最初の”光”の記憶です。
もちろん実際に光の粒が見えたわけはなく、ただの印象にすぎないのですが、それから約10年後に、その印象が見当違いのものではなかったことを知りました。
つまり、光は光子という粒でできているということ、さらにそればかりでなく万物の存在に関わることや、”時間”にも関係しているらしいということを知りました。

”光陰矢のごとし”と言いますね。
なんとなく英語の直訳っぽいですが、中国から日本に伝わった古い格言です。
”光”は太陽、”陰”は月、月日が巡るのは矢が飛ぶように早いという意味で、「時間を大切にしろ」という戒めの意味が込められているようです。

ステンドグラス 光と陰 時間 光陰矢のごとし”太陽と月”を題材にして、という要望による注文作品が完成しました。
これは同時に”時間”を題材にするということでもあると、僕は勝手に解釈しました。

作品を設置する窓は北東向き、朝日が入ります。

光を”粒”として見せることはできないだろうか?

光子をまっすぐ透すガラスと、波のように揺らして透すガラスと、互いを干渉させることで粒子が生まれるような気がしました。

写真ではわかりませんが、性質の違うガラスを組み合わせています。

配色は7色の指定があり、虹の色、光のスペクトルです。

 

ブログを書き始めてから、ちょうど今日まで2年の”月日”が経っています。
何のために書くか?ということに関しては4回目のブログに書きました。

https://st-glass.jp/blog/note/7.html

そこにも書かれているように、僕には自分の日記として書くという意識は無く、ステンドグラスに関心を持った人に何か価値あるものを伝えたいという思いを抱きながら書き続けてきました。
今回を含めて2年間で76本のつたない文章を載せてきましたが、当初の目的を少しは果たしているでしょうか?

2年の月日の間に多くのものを失いました。
命や記憶や様々な絆を・・・。
しかし生まれたものもあります。
新しい命や経験と貴重な絆、そして新しい作品。

”光陰矢のごとし”、これからの月日はより高速の矢が飛ぶと覚悟しなければなりません。

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