雑記帳

宙(そら)へ

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僕の中学生最後の夏、我が家にもカラーテレビがやってきました。
この時期世界中でカラーテレビの普及率が一気に高くなりましたが、それには訳があります。
ケネディー大統領が約束した人類の月着陸が実現しようとしており、その様子が実況中継されると決まっていたからです。

中継が始まったとき、荒れたテレビ画面を食い入るように見つめる僕に、早々と起床した祖母が「何が映ってるんだ?」と聞いてきました。「月!今、人間が月に立ってるんだよ」と答えると、祖母は急に血相を変え「中学生にもなって馬鹿なことを言いなさんな。もういっぺん寝なさい!」と僕を叱りました。
1969年7月21日、明け方のことです。
前年には、映画「2001年宇宙の旅」が公開されて、強い感銘を受けた僕は、将来宇宙飛行士になることを夢見ていました。

それから40年余り、2001年をはるかに過ぎた現在、人類は宇宙ステーションを建設し、太陽系の各地に探査船を飛ばすまでになっています。
今年6月13日には、小惑星イトカワへ到達した日本の惑星探査機「はやぶさ」が、7年の旅を終えて地球に帰還するという人類初めてのミッションを成し遂げました。

宇宙飛行士にはなれなかった僕ですが、宇宙へのあこがれは今も変わらず、先日、NASA(アメリカ航空宇宙局)の創立50周年を記念して作られたドキュメンタリー「宇宙(そら)へ」というDVDを借りてきました。
2009年、イギリスの制作で、毛利衛さんが翻訳監修をしています。
内容は期待したとおり、NASAの挑戦と苦闘を貴重な映像を紹介しながら綿密に描いたものですが、最後の方に気になるナレーションがありました。
”人類はいつか宇宙のことなど知りたくないと言うでしょうか?宇宙に出るなんて到底無理だ、その必要もない、もうやめにしよう、とあきらめる日が来るでしょうか?”という問いかけです。
実際に、宇宙より地球の事を考えようとか、宇宙開発の予算を減らそうとかいう議論が近年繰り返されるようになりました。
宙へ ステンドグラス 日章����校

さて、僕が宇宙に夢を馳せていた頃通っていた札幌市立日章中学校が、計らずも今年NASAと同様、設立50周年を迎えるということで、記念品として僕のステンドグラスを使っていただくことになり、昨日設置してきました。

ステンドグラス はやぶさ イトカワ NASA作品タイトルは、「宙(そら)へ」。
先のDVD「宇宙へ」とほぼ同一ですが、ステンドグラスのデザインは、DVDが日本でリリースされる前に出来上がっていましたからただの偶然です。

   
”人類の未来は宇宙にある”という僕の確信を今の中学生たちと共有し、彼らが大人になった時、宇宙になど興味がないという勢力に負けないようにという願いを込めて作りました。

    

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