雑記帳

時は虹色に輝くーその18-

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毎年春先になると、ボザール工房の中にいても、北へ向かう白鳥たちの「コォー、コォー」という鳴き声を聞くことができます。
外に出て見上げると、はるか上空を飛ぶ白鳥たちの姿が、陽の光を浴びて光り輝く白いシルエットのように見えます。写真で見るその翼は、長い距離を飛び続けるための立派な羽が鱗のように重なっていますが、肉眼では確認できません。

今回の作品の中に描く白鳥も、白いシルエットとして描いても十分に目的を果たせそうだと思いましたが、そこはやはり白鳥への敬意を払って手をかけることにしましょう。

 

シートに描いた羽の一枚一枚を順に剥がしてエッチングします。

羽全体を腐食するのではなく、筆に含ませたフッ酸液を羽先から順に塗っていきます。

そうすることでグラデーションが生まれ、羽の柔らかさと軽さを表現することができます。

 

 

こんな感じに仕上がりました。

空を飛ぶ白鳥の軽さと力強さの両方を表したかったのですが、うまくいったかどうかわかりません。

どうすれば表現できるかを明確につかめないまま作業を進めたからです。

しかし、頭で強く思ったことが手に伝わると信じています。

 

 

 

白鳥は5羽飛んでいます。
大きな編隊の一部であることが想像できるでしょうか。

下部の紫ガラスの方に下がるにしたがって表現は抽象化し、白鳥はシルエットになります。

場面は夕方、まだ西日は射していますが、月は昇り、星も瞬き始めています。

月の形と大きさと位置については、随分悩みました。

少々俗っぽい図柄になりそうでしたが、デザイン全体の流れの中でどうしても必要な絵でした。

 

ー続く

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