雑記帳
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時は虹色に輝くーその19-

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数年前の夏、日も暮れかかる頃に、森の住人T氏の家を訪ねました。
しばしの歓談の後、T氏が突然立ち上がり「フクロウを見に行きましょうか」と言いました。
「この時間になると、たいていそこにいるんですよ」と家を取り巻く木立の中へ。
「いたいた、ほらそこに」と指し示されたのは、大きな白樺の木のかなり上の方でした。

「えっ、どこ?いますか?」「いますよ、太い枝の右側の~」と何度か説明されてやっと見つけたその姿は、瞬きすると見失いそうになるほど周囲の景色に溶け込んでいました。

 

練習で描いたフクロウは、夜空をバックにし、フクロウの形が際立って見えます。

でもこれは、フクロウの本質からどこか外れていて、大事なものを忘れている気がしていました。

本番では、フクロウの外見的な形態だけではなく”存在”を表現しようと考えました。

 

かつて森で見たその姿は、樹木や葉やそれを取り巻く空気と一体化し、獲物を狙って音もなく滑空する様を創造させるものでした。

しかし作品の中に描く絵としては、ある程度目立たないと困るわけです。

 

 

 

 

バックに白樺の林を描くことにしましたが、フクロウの邪魔をしないように”立体感”をなくしました。

でも”遠近感”は残して、空間の広さを表します。

 

緑色のガラスは腐食に時間がかかり、作業が終わるより前にシートが剥がれる危険があります。

それよりもなによりも、時間が経つに連れて頭の中のイメージがぼやけていくことの方が心配でした。

 

 

大袈裟に言えば時間との戦いでしたが、一週間かかって仕上がりました。
作品全体のメインとなる絵です。

ー続く

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