雑記帳
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世界で一番新しいガラス窓

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フランスでステンドグラスの勉強を始めたばかりのころ、つまり30数年前の話ですが、夏休みの2ヶ月間をイタリア旅行に費やしました。”イタリアの建築と美術を学ぶ”というのが旅のメインテーマでしたが、いくつかあったサブテーマの筆頭は、”ガラス窓の源流を探る”というものでした。

 

そのころ通っていたパリ美術学校のステンドグラス教室では、歴史の教科書としてジャン・ラフォン著「LE VITRAIL」(仏語でステンドグラスの意)を使っていました。

その第一章「起源」に記述されていた”現存する世界最古のガラス窓”に、僕は強く興味を惹かれました。

場所はナポリの近くにあるポンペイの遺跡。

西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火により一瞬にして火山灰に埋もれた町としてもよく知られていますね。

ユネスコ世界遺産にも登録されています。

 

残念ながらガラス窓の実物画像がネット上にも見つからず紹介できませんが、僕の記憶によるとその窓は、普通の住居らしい狭く天井が低い部屋に穿った手のひらほどの小さな穴でした。そこに埋め込まれたガラスは、淡い緑色をした曇りガラスで、2センチほどの厚さがあるように見えました。当時はすでに中東で吹きガラス技法も発明されていたはずですが、まだここまでは普及していなかったのでしょうか、ポンペイのガラス板は溶けた高温のガラスを型に流し込んで作られたものと言われています。

現在のガラス窓の概念からするとポンペイのガラス窓はあまりにも小さくて、さほどの実用性はなかったように思えますが、それでも当時の人々にとっては、雨や風を防いで光だけを透すガラス窓が画期的な新技術であったことは間違いないでしょう。おそらく相当に高価なものでもあったはずです。

ー続く

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