雑記帳
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”作る”と”創る”

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2週間ほど前のことですが、北海道札幌平岡高等学校の学校祭へ行ってきました。学校祭のメインイベントのひとつであるステンドグラスコンクールの審査です。1年生から3年生まで各学年6クラス、合計18クラスの中から、金銀銅賞と特別賞を選びます。

僕が審査に参加するようになって11年目の今年、特筆すべきことが起こりました。各クラス自由に作品のテーマを決めるのですが、その中にディズニーやジブリ作品から引用したもの、虎や龍を描いたものがひとつもなかったことです。これまでは毎回、これらを主題にした作品が、必ず数点は見受けられたのです。事前に行うステンドグラス講習会で、僕はこの点を特に強調しました。以下は、1時間余りの講習会の最後の5分で話した内容です。

概略;「最後に、コンクールで勝つ方法を教えます。まず何を表現するかをよく考えることです。誰も扱わない珍しいテーマを考え付いたら、ほぼ入賞間違いなしです。逆に、誰もが思いつくディズニーやジブリ作品、虎と龍、日本昔話などを主題にするのはかなり不利です。なぜならそれらを題材にした作品は、これまでも毎年登場していて審査員の記憶にも残っており、過去の類似作品すべてと競争することになるからです。どうしても”シンデレラ”を主題として選ぶなら、これまでにない特別な”シンデレラ”を表現しないと勝ち目はありません。皆さんに目指してほしいのは、ただ手を動かして”作る”のではなく、新しいものを生み出して”創る”ことで、僕自身も毎日そういう姿勢で制作をしています」

結構ベタな話ではありますが、それを素直に受け取ってくれた結果でしょうか、今年のコンクールは独創的な作品が多く、高いレベルでの競争となりました。

上位三賞のトップ、つまり金賞に輝いたのは3年1組の作品「Khronos」です。
僕を含めた審査員三人が三人とも満点を付けた文句なしの出来栄えです。細かな図柄の装飾効果はクリムトを連想させますが、独自のデザインです。白く残した部分や、わずかな赤色の部分もしゃれてますねえ~。

とにかく仕上がりがきれいなんです。カッターの使い方がうまいから、近づいてもあらが見えません。何より伝わってくるのは、”創作する”ということへの情熱です。

銀賞は、3年2組の「水魚と四季」。
構図も配色も整っており、好印象の作品です。長い時間見ていても、飽きがこない感じがします。作り方も丁寧で、3年生の安定した底力を見せてくれました。

銅賞は、3年6組の「Space FES」。
これは、全作品の中で最もステンドグラスらしい作品でした。画像では伝えきれませんが、透明感が素晴らしく、作品を透過した美しい光が窓辺を飾っていました。図柄だけではなく、作品の見せ方をイメージすることも”創造性”のひとつだと思います。

金銀銅賞とは別の視点で選ぶ特別賞は、2年1組の「Frog」でした。
僕の”独断”で決定していますが、決して”偏見”ではありません。主題の独創性、大胆な構図、制作技法の的確さ、溢れる熱意、どこをとっても優れているのです。実際、審査後の順位は、上位三賞に次ぐ第4位でした。
但し、カエルが4匹いるのだから、タイトルの「Frog」には語尾に”s”を付けるべきでしょう、という英語の先生の指摘がありました。なるほど、その通り!しかしその点は審査に影響してません。

過去の関連ブログにも興味ある方は、どうぞこちらをご覧ください。
2016年 「作品の輝き」
2015年 「賞を獲得するにはどうしたらよいのか?」
2014年 「学校祭のマニエリスム」
2013年 「着想と技術の密接な関係」

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