雑記帳
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Elefante Giallo(黄色い象)ーその3ー

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ステンドグラス用の色ガラスは、基本的にはガラス本体のすべてに色が着いています。つまり、茶色いビール瓶を割っても、その破片がすべて茶色いのと同じようにです。ガラスの色数は、アンティックガラスで数百種類、その他のガラスを合わせると2千種類ほどあると言われています。随分たくさんあるんだな、と思われる方もいると思いますが、絵の具類が混色することによってほとんど無限の色数を得られるのに比べると、はるかに少ない数です。

我々ステンドグラス制作者は、2千種類(実際には数百種類の見本)の中からガラスを選択し、必要な形にカットしてから鉛の桟で繋ぎ合わせて作品を作りますが、ただそれだけでは表現の幅が非常に狭くなってしまいます。そこで、もう少し明るくとか、一部分だけを暗くしたいとか、顔を描きたい、文字を書きたい、着色したい、といった欲求に応えるため、ガラスの絵付け技法が生まれ、発展してきました。西欧のステンドグラスの歴史は、ほとんどこの絵付け技法と共に盛衰してきたと言っても良いかと思います。

西欧ステンドグラス制作技法の千年にわたる歴史を、5分ほどに要約して高梨君に説明しましたところ、2ヶ月半ほど経ってから原画が出来上がりました。その原画を見た僕は、一瞬にして、使用する材料と技法を決定しました。
材料は、サンゴバン社(フランス)の被せアンティックガラス207番を使用。1枚のガラスの中に青と白が必要ですから、必然的に被せガラスでなければなりません。技法は、フッ化水素酸によるエッチングです。その後は、グリザイユによる線描き、そしてエマイユによる着色、という手順で制作を進めます。


工房のガラス棚の中から、適当な大きさの207番のガラスを選び出して、ガラスカット。通常のアンティックガラスに表裏の区別はありませんが、被せガラスにはその区別があり、カットは裏側からしかできません。

 


15cm角の正方形を切り出したところ。使う部分より、捨て去る部分の方が多い、なんてことはよくあります。このくらいの大きさなら、捨てずにとっておきますけど。

―続く

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