雑記帳
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エッチング事始めーその4-

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僕が何故フッ酸エッチングに魅かれたのかというと、それが光を増加させる唯一の技法だからです。
少々理屈っぽい言い方をするなら、グリザイユ絵付けを始めとするガラスの加工技術はすべて光を遮断することによって可視化するわけですが、エッチングは光をより透過させることによって可視化します。つまり、この技法を使うことで、ステンドグラスをより明るくすることができるのです。

ステンドグラス エッチング 花や鳥など具象的な絵をガラスに描いたとしても、その明るさが作品全体に与える影響を計算しながらエッチングをしなければなりません。

学生の頃、ヨーロッパのステンドグラスを見歩いたものの、エッチングについては勉強にも参考にもならなかったと、”ーその1-”で偉そうなことを書きました。僕が求めたのは、光を調節しようという明確な表現意識を持ってエッチングをしている作品でしたが、ひとつもみつけることができませんした。
そのあと何回かの研修旅行でも、これはという作品に巡り会うことなく現在に至っています。
よく覚えてませんが、どこにもないのなら自分でやってみようというのが、この技法を使い始めたきっかけだったのかもしれません。

ステンドグラス エッチング ”光の透過”ということに関して、フッ酸のエッチングにはもうひとつ重要な特質があります。
エッチングというと一般的にはサンドブラスティング加工のことを指す場合が多いのですが、サンドブラストでは加工面が白く濁って曇りガラス状になってしまいます。被せガラスをサンドブラストして色味は明るくなったとしても、光の一部は遮断されて、全体の透光量としては減衰する、つまり作品が暗くなる計算をしなければなりません。
                                                                                                                  

見かけ上も、ブラスト面が広ければガラスの向こうの景色が見えなくなることになります。
フッ酸のエッチングは、ガラスの透明感をそのまま残すことができます。
もし必要があれば、液の濃度を調節することによって、ガラスに適度な曇りを与えることもできます。

僕が長い間、サンドブラストではなくフッ酸エッチングを続けてきたさらなる理由は、その作業性によるものです。
サンドブラストは、ゴーゴー、シューシューと機械の音をさせながら高圧空気でガラスに砂をたたきつける作業ですが、フッ酸は優しく静かに(換気扇の音はしますが)ガラスを筆で撫でながら進める作業です。

時間はかかります。しかし、エッチング加工のゆったりとした速度と僕の体内リズムがちょうど合っている感じがしますし、音楽を聴きながらの作業は快適です。

ー続く

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