エッチングガラスを取り付けるパーティション裏側にある三角柱の吹き抜け空間は、4階がその底辺で中庭となっています。
昨年の現場下見の折、設計の方々と中庭に出て、「ここに何か欲しいね」という言葉を聞きながら、僕がその場で思いついたのは龍安寺の石庭でした。世界遺産と肩を並べるつもりはありませんが、広さが同じくらいに見えたのと、三角形の空間を見て、遠近法を利用したデザインをすると面白いかなと思ったもので、連想したのです。しかし、その後正式に注文をいただいてから僕が提案したのは石庭とは全く関係のないデザインでした。
いや、少しは関係あるかな?
4階は産婦人科と小児科の病棟です。そのことを一番に考慮しながら、インスタレーションを取り入れることにしました。龍安寺の石庭も一種のインスタレーションですが、病院の中庭も龍安寺の石庭と同じく人の出入りがないので、この技法の応用が可能になります。
僕が考えたインスタレーションのモチーフは”流れ星”。
地球の生命の始まりは、宇宙からの隕石が地上に落下したことによるという説があります。5F~8Fは、言わば生命の誕生から人類の発展を暗示するデザインですので、その大元になる“起源”を4Fの主題としました。
また”流れ星”というモチーフは子供に受け入れやすく、この階を訪れる子供たちや親たちの興味を惹きつけ楽しませることができると思います。
タイトルは : 「天からの贈り物」-流れ星落ちたー です。
材料は、光学レンズ用ガラスのクリスタルロックを中心にして、カレットやダル・ド・ヴェールを使用します。
工房の作業台の上でシミュレーションをしてみました。
3分の1の縮尺です。
ちょうどこの文章を書き始めた先週15日、ロシアのウラル地方に隕石が落下しました。その映像はかなりエキサイティングなものでしたが、SF映画で何度も見てきた隕石落下の場面、それらのCG映像が概ね間違っていなかったことを確認できたと思います。
しかし被害の大きさを考えるとそんなのん気なことは言っていられませんね。負傷者1000名超、被害家屋約4700棟、30億円以上の損害と報道されています。もしこれが都会の真ん中だったらどうなったことかと誰もが考えたことでしょう。人間に太刀打ちできない自然の猛威を津波のとき以上に感じました。
これから僕が作る流れ星の墜落現場は本物とは大違い、明るく楽しい未来を感じられるようにするつもりです。
インスタレーションの作業には2日ほどかかる予定、久々の現場仕事が楽しみです。
ー続くー