通常のステンドグラスの制作は建築と似ている。
最初にしっかりとした設計図を描いたら、出来上がりの様子はかなり正確に予測できる。
エッチングや絵付けなどの加工作業が入る場合は少々事情が変わってくるけれども、それでも設計図の範囲内で収まることはまず間違いがない。
しかしフュージングだけで作品を作るとなると、出来上がりの予測不能範囲は相当に広くなってしまう。
そこで今回考えたのは、だれもが思いつく当たり前のやり方だとは思うが、スリットの縦一列(ガラス3枚)ずつを一度に焼成して、その焼き上がりを見ながら隣の列の3枚を制作するというやり方だ。
3つに分かれた塀の左側は“花”をモチーフにしている。
「花・水・木」の中では主役を務めるパーツだから思い切り目立たせたい。
センターを占めるのは“水”のパーツだ。
“水”は動く。
空間と時間を越え、自在に姿を変えて天と地の間を駆け巡る。
“木”は水を吸い太陽の光を受けて新しい命を創り出す。
36枚全てのガラス板が揃った。
ー続く