通常のステンドグラスの制作は建築と似ている。最初にしっかりとした設計図を描いたら、出来上がりの様子はかなり正確に予測できる。エッチングや絵付けなどの加工作業が入る場合は少々事情が変わってくるけれども、それでも設計図の範囲内で収まることはまず... もっと見る
電気炉には5段まで棚を重ねることができる。しかし今回は作業の進め方を考慮して一度に3段ずつ焼くことにした。 焼成温度790℃設定で試し焼きをしてみたら、僅かにガラスが溶けすぎたので本焼きは780℃に設定する。 電気炉のスイッチをONにしてか... もっと見る
少々乱暴な言い方を許してもらうなら、施主に提出した原画は目安にすぎない。特にフュージング作品の場合その傾向は強くなる。全体のコンセプトは守るが、細部のデザインを考えながらより良いものを目指して制作は進んでいくものだし、焼成後のガラスは色も形... もっと見る
新しい仕事がスタートした。公共施設の外塀にアーティスティックなガラスを嵌め込み”彩りの壁”にしようという計画だ。 施主からいただいたお題は「花・水・木」、市木である「ハナミズキ」をもじったものだけれど、デザインのコンセプトとしてはシンプルで... もっと見る
伝統的ステンドグラス技法で用いる鉛桟は、多少別の金属を混ぜることもあるが、基本的に鉛だけで出来ている。しかし1990年頃、その芯の部分に真鍮製の薄い板を仕込んだものが現れた。その板があまりにも薄く頼りないものに見えたので、鉄製の補強棒に代わ... もっと見る
伝統的ステンドグラス技法では、組み立てに鉛製の桟を用いる。鉛は、その柔らかさ故に加工性に優れるだけでなく、耐候性や価格の条件も合致して、千年前のステンドグラス起源から現在まで変わらず利用されている。 組み立て ステンドグラスが他の絵画と最も... もっと見る
絵付け作業の順番として、シルバーステイン絵付けは通常最後に行う。また、ガラスの裏側つまり外部に面している側に施すのが普通だ。その理由は二つある。 前にも書いたように、昔はガラスを焼くという作業が大変なことだったので、できるだけ焼成回数を少な... もっと見る
グリザイユ絵付けが終わったら、もうひとつ別の種類の絵付けがある。通常日本ではシルバーステインと呼ばれている絵の具を使うのだが、フランス語ではジョーヌダルジャン(jaune d’argent)、”銀の黄色”という意味、文字通り銀を... もっと見る
「線描き」の焼成が終わって「調子付け」の作業に入る。現代のステンドグラス作家は、電気炉という大変便利な道具を持っているため、夕方にスイッチを押すだけで、翌朝には絵付けしたガラスが焼き上がっている。しかしかつて炉を熱するために薪を焚いていた時... もっと見る
納期が迫った別の仕事にしばらく専念していた。そちらが一段落したので、またこの仕事を再開する。 ガラスが一枚割れてしまい作り直す必要があった。それまでは効率よく仕事を進めてきたつもりだったが、ここで躓く。たった一枚のガラスのために数日間を費や... もっと見る
絵を描くということは、楽器演奏やスポーツにも似ている。手慣らしや準備運動もなしにいきなり本番スタートというわけにはいかない。ましてステンドグラスでは、ガラスカットの時に使う筋肉と筆を使う時に使う筋肉が全く別なので、肉体労働がしばらく続いた後... もっと見る