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花・水・木-その3-

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電気炉には5段まで棚を重ねることができる。
しかし今回は作業の進め方を考慮して一度に3段ずつ焼くことにした。

焼成温度790℃設定で試し焼きをしてみたら、僅かにガラスが溶けすぎたので本焼きは780℃に設定する。

電気炉のスイッチをONにしてから指定の温度に達するまで6時間半かかることも分かった。
指定の温度に達したら炉は自動的に通電をやめるが、その直後炉の扉を開けて600℃くらいまで急冷させる。

扉を開けると、眼鏡が溶けるかと思うほどの熱風が顔に吹きかかかる。
溶けたガラスはオレンジ色に染まって元の色は全く見えない。

急冷後は扉を閉めて150℃以下になるまで徐冷(ゆっくり冷ます)する。
それまで約24時間かかるが、その結果を見てからでなければ制作を進めることはできない。

ストライカー

フュージング用のガラスには”ストライカー”と呼ばれる種類のものがある。

簡単に言ってしまえば焼成後に変色する特性を持っているガラスのことだ。しかしその変わりようと言ったらライザップのビフォーアフターどころではなく、人種も年齢も性別も違う全くの別人になると言ってもよいほどだ。
その変化を想像しながらデザインするのは至難の業であり、出来上がりを正確に思い描くのはまず無理だろうと思う。だからと言ってどうにでもなれというわけにもいかないから、必死で想像力を働かせるしかない。

これはビフォー。
そしてアフター。

もうひとつの変化

焼成後のガラスは、色のほかにもうひとつ変わることがある。
形(厚み・寸法など)だ。
しかしこちらは実験と計算によりほぼ正確な数値を引き出すことができる。

焼成前の重ねたガラスの厚みは14㎜。

焼成後は平たく縮んで10㎜になる。

同じ部分の写真だが、黄色のガラスがオレンジ色に、ほぼ無色のガラスが黄色に変わっている。

寸法は、305h×203w→317h×213wと膨らむ。
寸法も厚みも設置作業には大事な要素なので、36枚すべてが一定になるように、重ねるガラスの量を守りながらデザインする必要がある。

―続く

 

 

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