僕の住む江別市は札幌市のすぐ隣ですが、その境界線近くの江別市内に「酪農学園大学」があります。その名のとおり酪農を教える大学で、日本全国からその道を目指す学生たちが集まっています。
キャンパスには広い牧草地があって、この季節、長い冬の間牛舎で暮らしていた牛たちが気持ちよさそうに新しい草を食んでいるのが見えます。
札幌のような大都市のそばに、これほど広大な牧草地や畑を有している大学は世界中捜してもそうたくさんはないでしょう。
牛たちのすぐ横を、交通量の多い国道12号線が走っています。
先月のことですが、酪農学園大の教授からステンドグラスを2点注文いただきました。
題材はもちろん「牛」です。
ひとつは”ホルスタイン”、もうひとつは”日本短角牛”を主題にしてという依頼です。
”ホルスタイン”は、乳牛の代名詞と言ってもよいほどよく知られていますね。
但し、当然のことながら乳用に飼育されるのは雌だけで、雄は肉牛として活用されています。
体の模様は白地に黒班のように見えますが、実はその逆で黒色の地肌に白斑が入っています。
”日本短角牛”についてはあまり知られていないと思いますが、旧南部藩内に居た従来種にアメリカからの輸入種をいくつか交配して、1957年に”日本短角牛”と命名したのだそうです。
毛色は濃赤褐色単色です。
単色というのはエッチングで表現するのが難しく、少々苦労しました。
注文は2点ですが、難しいので練習も含めて4点作りました
僕が牛の絵を描いている最中に、宮崎県で口蹄疫が発生したとのニュースが流れました。
2000年にもやはり宮崎県で発生しており、北海道にも飛び火しましたが、このときは大事に至らず短期間で収束したように記憶しています。
しかし2001年のイギリスでは、あっという間に感染が拡大して、最終的に殺処分された家畜数は1100万頭にもおよび、被害総額は畜産業だけでなく観光業等も含めると1兆4千億円に達したそうです。
これがどれほどの被害かということは下記の数字を見るとよくわかります。
2009年の肉用牛飼育頭数は日本全国で約280万頭、県別では宮崎県が第3位で29万頭です。第2位は鹿児島県で36万頭、第1位はもちろん北海道で51万頭です。(5月22日の日経プラス1より)
同じく2009年の乳用牛飼育頭数は全国で約150万頭、その内の82万頭が北海道で飼育され、こちらもダントツの全国1位です。(帝国書院の出版物より)
数が多いのは自慢できますが、それだけ被害も大きくなるということです。
前出の酪農学園大学では、会議や品評会など一切の交流事業を中止して、口蹄疫の伝播を防ぐ体制をとっているとのことでした。