理事長からの提案の中に、羽ばたく鳥を3羽入れて欲しいという具体的な要望がありました。
最初に僕が提出した原画には鳥の羽が一枚一枚描かれており、翼を具象的に表現するつもりでしたが、途中で考えを改めました。
鳥は、ただの鳥ではありません。
巣立ち成長する子供達を象徴しています。
表現しなければならないのは具象的な鳥の形そのものではなく、生命力や元気、夢や自由な心です。
ダイクロガラスの発色の激しさや、見る角度によって色が変わって見えるという特性が、成長期の強い生命力を表現するのに適していると思いました。
鳥の中に抽象的な模様をエッチングで描きました。
見慣れないもの、意外なものに大人は「なぜ?」という疑問を抱きますが、子供にとってはすべてが新しいものです。
ただそのまま感じ受け止めて欲しいと思います。
細かい線など、グリザイユによる絵付けを施しています。
この作品の場面は日中ですが、上部に星を描きました。
空が青く晴れ渡っていても、厚い雲に覆われていても、その向こうにはとてつもなく深い宇宙が広がって星々が輝いているということを表しています。
作品タイトルは、いわき市のお寺の作品と同じものにしましたが、但し後に今年の年号を付けて「生命賛歌2011」としました。
一度に多くの命が失われた年、さらにそれ以上の命が長きにわたって奪われ続けることが決定付けられた年でもあります。
その2011年を心に刻み、タイトルとして文字にも刻んでおくことにしました。