川風便り

キスリングの灯ーその8-

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前日の夜800℃まで加熱された電気炉は、翌朝9時ころには50℃くらいまで炉内温度が下がっています。一度高温で溶かしたガラスは、そこから素手で触れる温度になるまで少しづつ冷ます“徐冷”という工程を経なければなりません。熱いままでいきなり冷たい空気に晒すと、ひびが入ったり割れたりしてしまうのです。

夜半から朝までの間、12時間ほどかけて自然に徐冷が終わったガラスを棚板ごと取り出すと、重ねたガラスがこんな感じに溶け合って一枚のガラス板になりました。

焼く前はこんな感じ、黄色が目立って見えません。

フュージング用のガラスの中には”ストライカー”と称される種類のものがいくつかあります。ストライカーは高温で熱した時、適正な発色を得ることができます。ここでは黄色がストライカーで、焼成前は淡い黄色ですが、焼成後ちょうどミモザの花のような強い黄色に変わります。これもまた一般の絵画とは違うところで、陶芸や七宝に共通した感覚だろうと思います。

さてフュージングによる黄色の発色はイメージ通り、穴の大きさや位置もOK、次はスランピングです。いよいよ煙突の出番、炉の中に入るように370長に切断しておきました。
左右のバランスに注意しながら煙突の頂点にガラスを置きます。この長さに3枚のガラスを並べることができます。

ステンレス煙突はかなり薄い板でできているため、加熱すると柔らかくなってガラスの重みで撓んでしまいます。それを防ぐために煙突の内側に陶製の支柱を立てます。また煙突が転がらないよう2本の陶板をストッパーとして外側に沿わせています。

スランピングは、電気炉を700℃にセットします。
取り出しは翌日の朝。

―続く

 

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