先日ある会合の席で暖房器具の話が出て、僕の工房ではコークスストーブを使っていると言ったら、30代の人2名から「何ですかそれ?」と言われてしまいました。
以前本州で同様の話をしたときにもやはり知らない人が多く、中には石炭すら見たことがないという人もいました。
僕の小中学時代は石炭暖房、高校で初めてコークスを使いました。しかしそれも、1970年代までのことですから、30代の人が知らないのはもっともなことです。
コークスというのは、簡単に言うと石炭を蒸し焼きにして不純物を取り除いたものです。石炭より火力が強く、燃えカスが少ないという利点があります。
製鉄所や一部の料理店などで今でもコークスは使われていますが、暖房に使われることがほとんどなくなったために、一般的には忘れられてしまったようです。
実は僕もしばらくの間忘れていたのですが、1995年の阪神・淡路大震災の後、エネルギーが一極に集中することの危険性に気がつき、工房でコークスストーブを併用することにしました。
実際に使ってみると、暖房効率及び経済性の点で石油やガス・電気よりも優れていることがわかりました。
ご覧の通り、ストーブ自体が真っ赤になって発熱し、遠赤外線の効果でしょうか、体全体が暖まるような気がします。
上部にはステンレス製の大きなタライをのせて湯を沸かし、乾燥を防ぎます。
ストーブを扱う際の器具に”デレキ”あるいは”デレッキ”と称する火かき棒があるのですが、これを使いこなせるようになるとストーブ初心者の卒業です。
因みに、コークスは”koks”でドイツ語から、デレキはオランダ語由来説が有力です。
僕は小学生のときすでに初級を脱し、現在最も難しいと言われる焚き付けを完全マスターしていますから、師範級のはず。
技を競ったり、自慢したりしたいのですが、周囲に関心を持つ人は皆無です。
どなたかコークスストーブを使ってみたいという人はいませんか?