支援活動5日間の滞在中、僕たちは各地で放射線量の測定をしました。とは言え、その数値にはどんな意味があるのでしょうか?信頼できるのか、できないのか?有用なのか、無用なのか?そして何より、安全を示しているのか、その逆なのか?
一口に放射線量の測定と言っても、様々な条件の違いがあります。しかしそれより以前にしっかり理解しておかなければならないのは”放射能”と”放射線”の違いです。この二つを混同している例が今でも多々見られるのは、かつて原発反対運動盛んな頃、政府が故意に流した虚言の効果が今でも持続しているからでしょうか。 曰く、「放射線は常に宇宙からも降り注いでおり、レントゲン検査にだって利用している。原発から漏れる放射能などそれにくらべれば微々たるもの」といった具合。政府の御用学者がこの二つをごちゃまぜにして説明している姿を何度も見ていますが、専門家が間違えるわけがありません。自然の”放射線”だって危険に変わりはないけれど、何より危険なのは”放射能”の内部被爆です。 参照→「原子力発電所とは・・・-その1~その4-」
話を戻して、放射線量の測定に関してですが、下記の点を考慮しなければ測定値の意味を理解できません。
1、放射能の種類は?
放射能は、放射性物質とも呼ばれ、いくつもの種類があります。プルトニウムやウランなどは良く知られていますが、チェルノブイリ以後、または福島以後、よく目にするのはセシウムやストロンチウムですし、他にもヨウ素、トリチウム、コバルト、ルテニウム、ジルコニウム等たくさんの種類があります。同じセシウムでも134と137では、全く性質が違います。
2、放射線の種類は?
放射線には大別して5つの種類があります。アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、中性子線 の五つですが、この内、アルファ、ベータ、中性子線は粒子、ガンマとX線は電磁波です。例えば、セシウム137はベータ線を出して別の核種に変わりガンマ線を出すようになります。内部被爆の健康被害が大きいのはガンマ線よりベータ線です。
3、測定方法は?
放出された放射能の量は、放射線を測定することによって計算されます。放射線の測定方法は目的に応じて三つに分けられます。主に表面汚染についてはアルファ線とベータ線を測定し、空間線量はガンマ線と中性子線を、個人被爆線量についてはすべてを測定しますが、外部被爆と内部被爆に分かれます。放射線を検知するには、その目的によって測定方法を変えなければなりません。
4、測定値の単位は?
測定値の単位として一般に用いられているのは、ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)です。ベクレルは放射能の強さを表す単位で、シーベルトは放射線による人体への影響を表す単位です。他に、グレイ(Gy)とジュール(J)という単位が用いられることもありますが、ややこしくなるので説明を省略します。
5、使用する機器は?
日本で販売されている放射線測定器のほとんどは、ガンマ線の空間線量率を測定する機器で、単位がマイクロシーベルト毎時(μSv/h )になっています。機器の地面からの距離や、向ける方向、あるいは天候(特に雨や雪)によっても測定値は変化します。
さて、ここまで読んだだけでも大抵の方はうんざりしてくると思いますが、より重要なのはこの後、実際の数値が何を意味しているかということです。
ー続く