きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒になった
きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た
冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た
工房前の空き地にも雪が降り積もりました。ハルと三女は大喜びです。僕はというと・・・ちょっと憂鬱になりかかった気持を一篇の詩が吹き飛ばしてくれました。
上の詩は高村光太郎30歳のときの詩「冬が来た」です。
”公孫樹の木も箒になった” ってどう読むんだろ?と思った方は、下記のサイトへ。
朗読を聞くことができます。
http://t-koutarou.net/Entry/31/
白く化粧した樹々も凍てつく冬の朝、光の粒がきらめきながら降り注いでいます。まだ誰の足あともない雪野原の前に立つと、光太郎の「道程」の一節を思い出します。
僕の前に道はない
僕の後ろに道はできる
・・・と、気持ちよく感傷に浸っていたら、ハルが僕の前に出てバージンスノーを踏み荒らした上に、ウンチまでし始めました。
(このクソ犬!)
ハルは、そのあとさんざん逃げまわって遊んだあげく、今は工房の僕のベッドで、時折キュンキュン寝言を発しながら(多分僕に叱られている夢を見ている)眠りこけています。
もう歳だから(12才)すぐ疲れるらしい。