雑記帳

愛着心を捨てるーその4-

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鉛筆デッサンと平行して木炭デッサンもやりました。西洋の古代彫刻を複製した石膏像を描く、いわゆる”石膏デッサン”というもので、美大受験の課題にもなっていましたから、必ずやらなければなりませんでした。

 

しかし後に知ったことですが、その頃すでに西洋の美術学校では入学試験の課題に石膏デッサンはなく、入学後に勉強することさえありませんでした。

「石膏デッサンなんて古めかしい勉強方法だよ。そこから何を得られる?」とパリ美術学校デッサン室の教授が言っていたのが40年前です。

実際、受験勉強でこんな木炭デッサンを何十枚も描きはしましたが、それ以後1枚も描いたことはありません。

全く役に立たなかったとまでは言えないけれど、さほど役には立ってない気がする。

とにかく愛着もないので、全部捨てます。

 

 

同じ頃、やはり受験勉強のために描いた油絵の静物画があります。

受験のときと同じ時間内に仕上げるという練習ですから、美術的にどうこうという作品ではありません。

 

しかしこの頃から僕は、受験のために毎日こんな絵を描いている自分と、美術大学のカリキュラムに従い、その先美術界のシステムに組み込まれていくであろう自分の姿に、疑念と失望を抱き始めていました。

ー続く

 

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