雑記帳

続・釣りの心得

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僕に釣り方を尋ねてきた小学生の男の子ふたりは、それぞれが長さ1mくらいの木の枝を持っていました。よれよれに曲がった細い木の枝ですが、よく見ると先端に毛糸が縛り付けられています。短い毛糸が3種類ほど繋がって、枝と同じくらいの長さの紐になっています。紐の中頃に薄いプラスチック片(多分ペットボトルのラベル)が結び付けられているのは、浮きのつもりでしょうか。
ここまではまあ良いです。絶対に釣れないとは言い切れない様相です。しかし、問題なのは毛糸の最先端にぶら下がっているものでした。

「これはもしかして釣り針?」
「だめですか?」
「だめでしょ!」

釣り針として毛糸の最先端に鎮座していたのは、長さ8cmほどの金属製S管。マグロが釣れそうな大きさですが、先端が尖っていません。しかも餌がない!
何から説明するか、途方にくれながらも、竿や紐はもっと長い方が良いこと、「紐はテグスが最適だよ」「おじさん、持ってますか?」うーん、持ってはいるけどね。「釣り針の手作りは無理だと思うよ」「もらえませんか?」てな会話がしばらく続き、話しながら僕は考えました。
お金さえ出せば何でも買える時代、自分で道具を 作ろうとしたこの子達は偉い!困ったら周囲の大人に頼るのもいいだろう。言葉使いだってしっかりしてる。河原の駐車場に停めてある僕の車には、餌釣り用の道具一式があるし、テグスや釣り針なんていくらでもあげられる。でもしかし、あと1歩なんだ、あと1歩自力で進むべきと考えました。そうすれば、苦労して工夫して、やっと一匹の魚を釣り上げたときの喜びが何倍にも膨らむのです。

 

テグスや釣り針の代わりに僕が男の子たちに与えたのは、”釣りの心得”でした。

1、目的(何を釣りたいか)を明確にすること
2、目的に合わせた道具(竿や針)を用意すること
3、目的に合わせた餌を用意すること
4、場所(川とポイント )を選ぶこと
5、釣った魚の処遇を決めておくこと

もちろんこの通り言ったわけじゃありません。
説教臭くならないよう注意しつつ、彼らに分かる言葉でくどいほど丁寧に説明しました。

最後に、できるだけ道具を揃えること、ミミズをたくさん集めてくること、バケツをひとつ持ってくることを約束させ、「おじさんは来週の今頃もこの辺で釣ってるから」と言い残して別れました。

何か良いことをした気分だけれど、ただの”ウザイおっさん”と思われた可能性もある。

いずれにせよ僕は、来週もまた釣りに行かなければならんことになったのです。

 

 

* 25cm長のウグイ。目的とは違うんだが、こんなのがよく釣れる。

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