これからエッチングの準備をします。
”etching(エッチング)”というと銅版画と思う方も多いことでしょうけれど、酸で腐食する技術全般に使われる言葉です。フランス語で”gravure(グラヴュール)”と呼ばれ、ガラス工芸の世界ではむしろこちらの方が広く使われている言葉ですが、ガラス彫刻のことを指す場合が多く、混同を避けるためにあえて”エッチング”という英語を使うことにしました。より正確さを必要とされるときは、”フッ化水素酸によるガラスエッチング”と呼称しています。
ガラスを腐食する溶液は、”フッ化水素酸”という非常に強力な酸ですが、塩化ビニールには効きません。そこでガラスの腐食させたくない部分には塩化ビニール製の粘着シートを貼ります。
ガラスの表面をワインビネガーで拭いてきれいにします。通常の日本製合成酢は、調味料などの混ぜ物が多く使えません。参照→2008年のブログ「日本の酢」
まず、ガラスの表側、青色が被せられている側に白のシートを貼ります。シートとガラスの間に空気が入らないよう、端から少しずつ貼り進めます。
貼り終わったら余分な部分を切り落とし、ヘラでシートの表面全体を丁寧にこすります。これら一連の作業は、エッチング作業中にシートが剥がれるのを防ぐためですから、地味ですがとても大切な工程です。同様の手順で、ガラスの裏側には透明なシートを貼り付けます。
ここまでの作業は、油絵で言うなら、カンヴァスを張り終わったところ。いよいよこれから絵を描き始めることになります。
ー続く