雑記帳

初夢~正夢~新年会 -前編ー

2009年1月17日
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僕の今年の初夢は、フランスの大学時代に体験した事件の顛末を、まるでテレビドラマを見るがごとくほぼ忠実に再現するものでした。30数年前に起きた小さな出来事が、まだ脳細胞のどこかに鮮明に保存されていたということに我ながら驚いています。

場面は、カン大学のフランス語教室の中。
あらゆる人種が混じりあった50人ほどの学生が、暖かい春の陽が射しこむ教室で向かい合わせに座っています。いつもは正面の教壇に向かって整然と並べられている机と椅子を、この日は討論の勉強をするからということで配置を変えました。

甲高い声を張り上げる女性教授の指導の下、服装や食べ物などについて、ただのおしゃべりが続きます。それが突然激しい討論に変貌したのは政治の話題になってからです。クラスにただ1人いたイスラエル人の女学生が、他のアラブ諸国の政策を鋭く批判します。それに対してエジプトやレバノン、イラン、イラク、モロッコ、チュニジアの学生がいっせいに反発し、教授の制止も効果なく教室内は一気に大変な騒ぎになりました。

そのときクラスにいた日本人女学生の一団は、下を向いて手作業に励んでおり、何をしているのかと覗き込むと、折り紙でせっせと鶴を折っているのでした。(このシーンは事実ではありません。前期のクラスで見た光景を割り込ませたようです。後期のクラスの日本人は僕一人でした)
フランス語の授業は、互いに相手を罵倒しているらしいアラブ語に占領され、イスラエル人女学生が何事かを叫びながら教室を飛び出しておしまいになりました。

場面変わって学生食堂。
その日のメニューはアラブ料理の「クスクス」です。(本当にそうだったかな?)
僕がアラブ人のグループに混じって食事をしていると、少し離れたテーブルに先ほどのイスラエル人女学生がひとりで座っていることに気がつきました。それを見ながらアラブ人学生同士が僕にはわからない言葉でなにやらひそひそと話しています。

グループの中心的存在だった1人のエジプト人学生が席を立ちます。各テーブルに備え付けられているガラス製の重たいキャラフ を手に持ちました。彼を止めなければと思った夢の中の僕は、あのとき現実だった僕と同じく指一本動かすことができませんでした。
近づいてくるエジプト人学生に気がついた女学生も、食事の手を止めてただ呆然と前を見つめるだけ、少しも動こうとしません。
背の高いエジプト人学生が、テーブルを挟んで女学生を見下ろすように立ちました。
片手にぶら下げていたキャラフをゆっくりと持ち上げます。
食堂の中が一瞬で静まり返ったかのような気がしました。

エジプト人学生は、女学生の空のガラスコップの中に自分が持ってきたキャラフの水をなみなみと注ぎ入れました。緊張していた周囲の空気がホッとほぐれて、元の騒々しい学生食堂に戻ります。

エジプト人学生の顔は見えませんが、そのままそこに座り込んで女学生に何か話しかけています。女学生のこわばった表情が徐々に緩んで、最後に微笑みながら握手を交わしたのが見えたときに目が覚めました。
この一件の結末は知っていたにもかかわらず、緊張した僕の手は固く握られて汗ばみ、掌に爪のあとが付いていました。

正月早々こんな夢を見るのは、もちろん昨年12月27日に始まったイスラエル軍のガザ地区攻撃のニュースの影響でしょう。
しかし、今も続くこの紛争をここで論じるには、あまりに問題が大きすぎます。
関心のある方は下記のサイトをご覧ください。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/399

僕としては、正月に見た夢が正夢となり、フランスの学生食堂で起きた出来事が、現実の国際社会でも起きないものだろうかと祈るばかりです。

ー後編に続くー

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