雑記帳

白い恋人たち

2011年12月1日
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昨晩から今朝にかけて雪が降り積もり、工房の窓から見える空地もすっかり冬景色となりました。

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暑い季節には涼しげに見えるガラスですが、今この時期雪の光に映える淡色のアンティックガラスは、むしろ温もりを感じさせてくれます。

雪を見ると僕の頭の中で自然に流れ始める曲があります。時には実際に口笛で吹いたりもします。
1968年フランスのグルノーブルで開催された第10回冬季オリンピックの記録映画「白い恋人たち」(クロード・ルルーシュ監督)のテーマ曲です。

この映画を封切時に見て、それまでの記録映画のイメージとはかけ離れた芸術性の高さに感動しました。美しい映像と共に流れるフランシス・レイの曲も印象的で、ちょうどそのころ夢中になっていたクラシックギターで弾こうと毎日練習した覚えがあります。
そのせいですっかり頭にこの曲が浸み付いてしまったようです。

あとでわかったことですが、映画の原題は「13 Jours en France」というもので、「フランスにおける13日間」という意味です。何の変哲もない、いかにも記録映画っぽいタイトルでした。
「白い恋人たち」というタイトルは、日本の映画配給会社が勝手に創作したものですけれど、映画が日本で大ヒットした要因のひとつではないかと思います。
タイトルとしては、芸術性を感じさせるという点でフランスの原題より優れており、クロード・ルルーシュ監督に差し上げたいくらいです。

さて、今やすっかり有名になった石屋製菓(本社札幌)の「白い恋人」というお菓子ですが、これがちょっとした騒動をひき起こしているようで。
といっても騒動の原因は石屋製菓ではなく、吉本興業の子会社が販売している「面白い恋人」です。
石屋製菓によると、誤って購入した人からの苦情が寄せられるようになったため提訴したということです。

昨年関西空港でこのパロディー商品を発見したときには、密かに笑ってしまいました。
さすが大阪だなとは思いましたが、パッケージの外観も菓子自体の内容も本物とは差異が大きく、かなり本家に遠慮したなという感じがしました。
これを誤って買う人はまずいないだろうと思えますが、買ったとしても石屋製菓に苦情を寄せるのはお門違い、「面白い恋人」を作った会社に言うべきでしょう。
きっと面白い答えを返してくれるはずです。

もともと映画の題名をパクった商品名ですが、商品自体もベルギー人のショコラティエであるジャン・ギャレ(Jean Galler)が考案した焼き菓子ラング・ド・シャ(langue de chat)を模したものです。それをさらにパクって問題になっているわけですが、「面白い恋人」の菓子はみたらし味のゴーフレットですから全くの別物です。
かつて「白い変人」というのが発売されたことがあり、こちらは商品・パッケージ共に本物によく似ていましたが、やはり問題になって販売停止になったのでしたっけ?
いずれにせよ「白い恋人」が全国区で有名なために起きる騒動です。

ステンドグラスの仕事を始めた頃、職人ではなく作家を目指したいという僕に、ある画廊主が「他人の真似をしてはいけない。他人に真似されるようになったら本物だね」と言いました。
「白い恋人」が30数年もの間売れ続けているのは、その命名のおかげだけではなく、実際に美味しいからなんだと思います。
会見を開くなら「うちの商品は素晴らしく美味しい。本物はここが違う。食べ比べてみてください」と、この機会にちゃっかり全国に宣伝した方が良かったのに。

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