もしかして雪のないクリスマスになるかも?と思っていた北海道ですが、この一週間ですっかり冬景色になりました。
工房前の空き地もご覧の通りです。
北海道の冬は、我々に肉体的にも経済的にも厳しい生活を強いてきます。
しかしそんな生活の中でも、多くの人は冬ならではの楽しみを見つけながら毎日を過ごしています。
僕の冬の楽しみは読書。
もちろん夏だって本は読めるわけですが、眠る前のひと時に読むのが好きなもので、夏の蒸し暑い夜、だらだら汗をかきながら読もうという気にはなれないのです。
また、3時4時に外が明るくなり雀がさえずり始めるのも落ち着きません。
冬の読書は、ひんやりとしたシーツの寝床に潜り込み、足元だけ暖かくして(湯たんぽ愛好家です)、焼酎のお湯割りをちびちびやりながら、夜明けの心配をせずに好きな本をこころゆくまで読む、これが最高の楽しみです。
今読んでいる本は「自由軌道」という1988年のネビュラ賞を獲得したSF小説です。
遺伝子操作により宇宙での作業に適するようにつくられた4本腕(足はない)の子供達”クァディー”を題材にした物語は、科学的知識に支えられたリアリティーがあります。
作者はロイス・マクマスター・ビジョルドというアメリカの女性SF作家。
ここで連想してしまうのはフランケンシュタインです。
世界最初のSF小説と言われる「フランケンシュタインあるいは現代のプロメシュース」を書いたのは、メアリー・シェリーというイギリス人女性です。
メアリーは、駆け落ちしてたどり着いたスイスにおいて、将来夫となる詩人パーシー・シェリーやその友人のバイロンからヒントをもらい、2年後の1818年英国で、この驚くべき作品を発表しました。
メアリーが21才のときのことです。
ちなみに”フランケンシュタイン”は、登場する怪物の名前ではなく、それを作った科学者の名前です。
小説の中の怪物は最後まで名前を与えられず、北極の海で行方不明になって終わります。
さらにメアリー・シェリーから連想してしまうのは、「冬来たりなば・・・」の一節で知られる有名な詩。
この詩を書いたのが他ならぬメアリーの夫パーシー・シェリーだからです。
「冬来たりなば・・・」は「フランケンシュタイン」出版の翌年1819年に発表された「西風に寄せる歌」の末句です。
勇ましい言葉が並び元気付けられる気がするのは、高村光太郎の詩「冬が来た」とも似ています。
「冬来たりなば」に続く「春遠からじ」については、新年のご挨拶がてら書かせていただきます。