雑記帳

時は虹色に輝くーその27-

このエントリーをはてなブックマークに追加

エマイユ絵付けが終わりまして、次はシルヴァーステインを使います。
仏語のジョーヌ・ダルジャン( jaune d’argent)を直訳して銀黄色と呼ぶこともあります。名前の通り、銀がガラスと化学反応を起こして黄色を発色させる絵の具です。

ステンドグラスの歴史書には、中世のステンドグラス職人が銀の指輪をガラスの上に乗せたまま炉に入れてしまい、焼き上がると指輪の下が美しい黄色に変わっているのを発見したという逸話が紹介されています。この逸話の真偽は分りませんけれども、シルヴァーステインは14世紀の中頃登場し、一枚のガラスを部分的に別の色に出来る画期的な手法としてもてはやされます。しかしそれは、ステンドグラスが17世紀に衰退期を迎える要因のひとつでもありました。

それはともかく、銀の指輪がガラスを黄色に染めるというのは事実ですから、銀箔を貼ったり、硝酸銀溶液を塗って焼いても黄色に発色します。但しそれでは色の加減が難しいため、現在は使いやすいように土と酸化銀を適度に混合したものが作られています。製品としては粉状ですので通常は水に溶いて使用しますが、今回は特殊な効果を狙って粉のままガラスに乗せました。

 

電気炉の中に、シルヴァーステインを乗せたガラスの棚板が2段収まっています。

焼成温度はグリザイユと同じ、650℃です。

 

 

 

焼き上がると土の下が黄色く染まっています。

エマイユの黄色とは別の発色と透明感が得られます。

 

左下のピンク色ガラスに見られる黒い点のようなものは、金液を焼き付けたものです。

これも名前の通り金を溶かした液体ですが、銀黄色のような化学反応による発色ではありません。
金の成分がそのまま焼き付きます。

シルヴァーステインと焼成温度が同じなので、同時に焼きました。

光の加減によっては金色に反射して見えます。

ー続く

このエントリーをはてなブックマークに追加