「イージー・ライダー(Easy Rider)」という映画があります。
映画好きの人なら誰でも知っているアメリカ映画の金字塔と言ってもよい作品です。
1969年の製作ですが、ベトナム戦争で疲弊していた当時のアメリカを象徴するような内容でした。製作のピーター・フォンダと監督のデニス・ホッパーが共同で脚本を書いて主演もするというスタイルが新鮮で、日本では”ニューシネマ(日本での造語)”の筆頭として扱われることが多いようです。
物語は、コカインの密輸で大金を得た二人が、カリフォルニアからニューオリンズまでオートバイで旅をする様子を描いたものですが、アメリカの社会問題と共に”若者の無力感”が強く打ち出されているにもかかわらず、日本では一種の憧れを抱きつつこの映画を見ていたと思います。
”広大なアメリカ”、”豊かなアメリカ”を象徴していたのは、二人が乗っていたオートバイでした。
特にピーター・フォンダ扮する”キャプテン・アメリカ”が乗っていたのは、1965年型のハーレー・ダビッドソンを改造したもので、ハンドルを長く伸ばしシートを思い切り後ろに下げたスタイルは”チョッパー”と呼ばれて日本でも一時流行しました。
近頃では夏になると、北海道をツーリングするハーレーの集団を目にすることがあります。
集団と言っても暴走族などではありません。年齢はかなり高めの人が多く、「イージー・ライダー」を高校生のときに見たという年代の方が中心のようです。ハーレー・ダビッドソン愛好者の集まりであるのは間違いないと思いますが、この方々の走り方は実に紳士的です。スピードは控えめに、他の車両の邪魔をせず、信号無視など絶対になく、擦違うオートバイとは挨拶を交わし、駐車場でも整然とハーレーを並べる様に感心したことがありました。
昨年のことになりますが、このハーレー好きの紳士集団から縁あって仕事をいただきました。
僕は全く知らなかったのですが、アメリカのハーレー乗りは必ず”ガーディアンベル”というお守りを車体のどこかに付けているそうです。このベルを東日本大震災で被害に遭われた方々に贈りたいということでデザインを引き受けました。
写真は、僕のデザインを基にしてアメリカの工房が作ってくれたワックス製の型で、現在はここまで準備が進んでいます。
デザインを考える時にまず留意したのは、年齢・性別・国籍に関わらず意味が伝わるということです。
で、少々ありきたりかも知れませんが”ハート”をモチーフにすることにしました。
ひとりひとりの小さなハートが集まって大きなハートをつくり、大きなハート同志がしっかり手をつないで力を合わせよう、というメッセージが込められています。
実物は高さ2.5㎝の金属製で、製作費にひとつ700円ほどかかります。
ある程度の個数をまとめて注文するために、いま資金集めをしています。
具体的な活動は、ハーレーパーツの専門店「パインバレー」が中心になって進めており、「東日本大震災復興応援プロジェクト」を立ち上げました。
ひとりでポンと大金を提供してくれる方もいるかもしれませんが、できるだけ多くの方に少しずつ協力していただくということに”ハート”の意味があります。
是非とも御協力をお願い致します。
ー続く