ものを集めるのが苦手です。
子供の頃から今まで、何かの収集をして長続きしたことがありません。
但し、集めようとしたわけではないのに集まってしまったものはいくつかあります。
僕の、そんな自然収集物のひとつがガラスカッターです。
主にフランスやドイツの蚤の市で見つけたものですが、仕事柄どうしても目に留まってしまうようです。
高価なものは買いませんから、わずか13点のコレクションです。
それに加えて現在工房で使っている日本製のカッター5本、合計18本を並べてみました。
ヨーロッパ製と日本製の形状の違いは歴然としています。
ヨーロッパ製が手の中にすっぽりと収まりそうな大きさと形であるのに対して、日本製は手より大きく飾り気のないスマートな形をしています。
実際に使ってみると、その違いをさらにはっきりと感じ取ることができます。
例えば、パリの学生時代からずっと使っているダイヤモンドカッターは、個体差が大きく、切れる角度や力加減が微妙で、使いこなすのに半年以上の練習を必要としました。
日本製のカッターは品質が安定しており、使いやすいようにヘッドが可動したり、オイルが自動的に注入されたりと、たいへんに便利なものです。
ヨーロッパ製のカッターは、それを使うための注意力や感性を要求し、使用者の技能を引き上げ高めてくれます。
日本製のカッターは、使用者の足りない部分を補って、快適に作業を進めることを助けてくれます。
ヨーロッパ人は、道具が体の一部として機能することをめざし、道具を取り込み一体化することに喜びを感じるようです。
対して日本人は、道具としての性能を追求し、独立した機能を持たせ、道具に身を委ねることに快感を感じているかのようです。
どちらが良いとは言えませんが、いずれもそれぞれの心の持ちようが形になって表されたものであることは間違いないでしょう。
これらのカッターの実物は、下記の展覧会で見ることができます。
「トドまってはいけない」合同展~part5 ~ココロのカタチ
会期 5月5日(火)~10日(日)10:30~18:30 *最終日は17:00まで
場所 さいとうGallery 札幌市中央区南1条西3丁目1番地 ラ・ガレリア5F
6日(水)14:00~15:00には、僕のギャラリートークがあります。
ガラスカッターのカタチについて、実演をまじえながらお話したいと思います。
お近くの方は、是非ご来場ください。