面白い仕事

面白い仕事ーその3-

2012年3月4日
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ワインのラベルをデザインするという仕事をいただきました。
昨年、ぶどう摘みを僅かばかり手伝ったのが縁です。
→ 北海道のいいところーその5-

実はかなり昔、ステンドグラスの仕事を始めたばかりの頃に、暇だったもので自分でワインを作ろうとしたことがありました。
フランスの田舎にいた時、農家の入り口に「自家製シードルあります」なんていう看板が立っているのをよく見ましたから、ワインだって自分で作れるんじゃないかと思ったわけです。しかし実際に調べてみると、確かにワイン自体の製法はさほど難しくはないのですが、日本では法的な縛りがあって、とても個人で手を出せるような代物ではないことがわかりました。

じゃ、ソムリエの資格でも取っておいたら何かの役に立つかも、なんて軽く考えて、やはり暇つぶしに試験を受けに行ったら、こちらもとんでもない勘違い、本を数冊読んで勉強したくらいで受かるレベルではありませんでした。試験問題の意味さえわからず解答用紙をほとんど白紙のまま提出、僕以外の受験者はすでにその道で仕事をしているプロばかりらしく、休憩時間に聞こえてくる彼らの会話の内容も理解できませんでした。

それ以来ワインに関しては、もっぱら味わうことを専門に従事してきました。
ワインというと、産地がどうしたとか品種が何だとか、年代やら壜の形、色に香りに飲み方、味の表現の仕方まで色々あるわけですが、僕の40年近い経験で言わせてもらいますと、そんなことはどうでもよいのです。
要は”美味いか不味いか”、この一点に尽きます。
どれほど高価なワインでも、飲んで不味ければなんの価値もありません。

ラベルのデザインに着手した時まず考えたのは、”ボトルの中身を想像させるデザイン”にしようということでした。

昨年収穫したぶどうは「スパークリング」と「赤」のワインになるため、まず2種類のラベルが必要です。

「スパークリング」に使用したぶどうの品種は、シャルドネ、ケルナー、ミューラトラガウ、バッカスなどの混合。
「赤」は、ツヴァイゲルトレーベの単品種。

それぞれのぶどうをエッチングで描きました。

青ガラスのエッチングは、JUJO講習会のデモンストレーションにも使用しています。
後にラベルに使用することを想定してデザインしました。

赤ガラスはラベルに使用するためだけにエッチングしたものです。
赤色の特性と、小さなラベルにしたときの見え方を考慮して、ぶどうの縁のコントラストを強くしました。

ワインの命名もさせていただき「ニセコようていワイン」としました。
僕が命名したというより、ニセコの羊蹄山(ようていざん)の麓でつくっていますから、当然の成り行きのようなものです。

文字は僕が毛筆で書きました。

毛筆書体の漢字やひらがなのラベルはよく目にしますが、敢えて英文字にしました。
これから増える外国人観光客にも読めるように、また将来の輸出の可能性を見据えてのことです。

しかし”Yotei”だと”よてい”と読まれてしまいますから、”o”の上に横線を入れました。

Yoteiワインはまだ作り始めたばかり、ぶどうの樹も若く、その実で作ったワインはやはり若くすがすがしい味がするはずです。

ぶどうの生産者は「羊蹄グリーンビジネス株式会社」ですが、ぶどうの量がまだ少ないため、ワインの製造は他のワイナリーに委託しています。この先ぶどうの収穫量をどんどん増やして、数年後には自前のワイナリーでワイン製造が始まります。

ラベルのデザインには、その中身のごとく素朴な若々しさを、その作り手のごとく誠実さと謙虚さと未来に繋がる夢を感じてもらえたらと思います。

ぶどうの樹の寿命は人間と同じくらいで、年代に応じて果実の味を変えていくといいます。
ワインの味が円熟を感じさせるものになったとき、ラベルもそれに合わせて変えなければなりません。
できることならその時もう一度、新しいラベルのデザインをさせてもらえたら身に余る光栄です。

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