川風便り

キスリングの灯ーその5ー

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本日主催者様より連絡があり、前回のブログで紹介した「サン=トロペの昼寝」は北海道立近代美術館では展示されないとの事です。上に載せた「サン=トロペの風景」(1917年)は展示されるそうです。

さてそれでも作品制作の方向性は変わりません。モチーフ(テーマ)が決まったら、どんどん作業を進めていきます。

実制作用のガラスはすべて、ブルズアイ社(米国)のcompatible(化学的に安定して共存できる)シリーズを使用することにしました。このシリーズは、膨張係数を合わせてフュージング用に特化したガラス群です。通常のステンドグラス用ガラスは、例え同じ会社のガラス同士であっても溶かし合わせることはできません。

使用する予定のガラスを並べると大体こんな感じです。

ベースの色は、キャンドルの色に対抗しないようにするため、無色透明系にすることに決めました。

ホルダーの形は、最初のエスキス通り左から右へと波型を作りながら高さを変えていきます。形に動きが出るので、キャンドルの生命観とマッチングすると思います。

この形を大きなガラス板から切り出すには、ピージュ(ガラス製の寸法型)を利用します。こうしておくと後で量産することになったとき非常に便利だからです。

ピージュを使ってカットした四角いガラス板から同時に2枚のベースを切り出します。ガラスの無駄を出さないため、作業時間を短縮するためのデザイン的工夫です。

ホルダーの中央に穴が残るようにしたいので、一枚のベースの真ん中あたりを波型にカットして二つに切り離します。”穴”は、キャンドルの生の光が通過できる場所であり、大きな効果を発揮してくれると思います。

しかしこのままでは、上下の波型が完全に一致することになるので、2組のベースの上部を交換します。そうすると穴の大きさに変化ができて、より躍動感が増すと思います。

ここまでの準備ができたベースを3組、棚板に離型紙を敷いてその上に並べます。

ボザール工房の電気炉に入る棚板の大きさは決まっているため、ベースがこの寸法なら3組同時に並べられるということを予め計算しておきました。棚板は4枚同時に炉内に重ねることができるから、量産体制に入ったとき一度の炉入れで12組の作品を同時にフュージングできる計算になります。

ー続く

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