先月の事、数年ぶりのステンドグラスランプの注文がありまして、さんざん制作に手間取った末、やっとのことで昨日取り付けてきました。
「取り付け」というのはつまり、食堂テーブルの上に飾る吊り下げ型のランプだからで、構造上電気配線をし直す必要もあったからです。
電気配線がつつがなく終わり、御家族全員が見守る中、いざ”点灯式”という段階になって、電球がない!ということに気がつきました。
幸い近所に電気店があったので、電球を買いに走りました。
普段は、電球や蛍光灯を業者からまとめ買いしているため、店頭の電球売り場を覗くのは久しぶり、一昔前とは随分と様子が違うことに驚きました。
まず、白熱電球がないのです。
完全にないわけじゃありませんが、あまりにも少なくて目に付かないほどです。
2007年、政府は電機メーカーに対して「電力消費の多い白熱電球の生産・販売を今後行わない」よう要請する事を決めましたが、いくつかの大手メーカーはすでに生産を停止または縮小しています。
2012年末までには、既存のものと一部の例外的用途を除いて、日本の国から白熱電球が消滅することになっています。
「白熱電球」といえばエジソンを思い浮かべてしまいますが、エジソンは白熱電球の発明者ではありません。しかし、何故か日本では、彼が発明したと思っている人が圧倒的に多いような気がします。
これはエジソンの改良型電球のフィラメントに京都の竹を使用していたことや、エジソンが日本びいきだったり、日本人がエジソン好きだったりすることから定着した誤解だろうと思います。
白熱電球を発明したのは、イギリス人の物理学者ジョゼフ・スワンですが、1878年にイギリスで特許を取得し、エジソンは翌79年にそれを改良しました。
スワンが実験を始めた1848年には、フィラメントに紙を使用していました。その後様々な素材を試したものの特許取得時の炭素フィラメントの寿命は10時間程度でした。
翌年エジソンが使用した竹のフィラメントは1200時間という圧倒的な長寿命でしたから、確かに功績は大きいのです。
現代のタングステンフィラメントによる白熱電球の寿命は2000時間ほど、蛍光灯が6000~12000時間、LEDとなると蛍光灯の5倍くらいはもつと言われています。
僕は売り場の前でしばし佇み、消費電力と価格、世の趨勢を考慮し、何より施主の要望にお応えして、電球色蛍光灯丸型60W、398円なりを買い求めました。
蛍光灯が随分安くなりましたね。
LEDはまだまだ高価です。
そんなことはともかく、持ち帰った蛍光灯をランプの中心に納めて、今度こそ”点灯式”!、カーテンを引いていただきましたが、時は正午、外は晴天、部屋が明るくてこんな感じでした。
それでも施主さんには喜んでいただけましたが、夜になればまたあらためて満足していただけるのではないかと思います。
工房で完成したとき、ライトテーブルの上に置いた様子です。
ガーベラをモチーフにして、暖色系でという御要望でした。
めったに作りませんが、ランプもいいものですね。
ー続く