色の好みというのは誰にもあるでしょうが、僕はやはり青が好きなんだろうなと思います。
好きというよりは快適といった方が良いかもしれません。
青色を目にすることによって、気持ちが落ちついたり、イメージが豊かになったり、やる気が出てきて体調さえ良くなる気がします。少々大袈裟に言うなら、青色に触れるていると世の中を肯定的に捉えることができるように感じます。
青色は僕の意識の中で、物事を論理的に考えること、ごまかさないこと、他者と繋がること、未来を予測すること、希望を持つことに直結しています。
ガラスのエッチングに使う被せガラスは、フランスのサンゴバン社の207番が品質的に最も使いやすいのですが、その色が青だったということが単なる偶然なのだろうかと不思議に感じています。偶然にすぎないのかもしれませんが、僕がステンドグラスの仕事をこれまで快適に続けてこれた理由のひとつは、青ガラスに触れている時間が圧倒的に長かったからだろうと思うのです。
色のイメージは、視覚的なものだけに適用されるものではありません。
”音色”とか”声色”いう言葉があるように、音やメロディーにも色を感じることができます。また、言葉の組み合わせや文字に色彩を感じることもありますし、人物にも色のイメージを重ねることができます。
日本のミュージシャンの中で僕が最も”青色”に感じるのは”さだまさし”さんですが、もうひとりずっと若手のミュージシャンが現れました。”野田洋次郎”という27歳の青年でして、僕が初めて彼の曲を聞いたのは6年前ですから、まだ21歳だったんですね。
僕が聞いた曲は「いいんですか?」という曲でしたが、その歌詞やメロディーや歌声から鮮烈な青色が迸っている気がして驚きました。
高校生のときに作った曲だそうです。
彼はRADWINPSという4人組のロックグループを率いて、作詞・作曲とボーカルも担当しています。
グループの場合、複数の色合いがごちゃごちゃに混じって賑やかになることが多いのですが、RAD(通称ラッドと呼ぶ)は青一色のイメージがあります。他のメンバーには悪いけれど、ほとんど野田洋次郎色に染められたグループと言ってよいかと思います。
どういうわけか僕が教えたわけでもないのに長女がRADの大ファンになり、3年前にコンサートに行ってグッズのタオルをお土産に買ってきてくれました。
それはもちろん綺麗な青色でした。
2001年に結成して以来、RADはしばらくマイナーで、テレビに出ることもなく、ほとんど誰にも知られていないようなグループでしたが、昨年大ブレーク、きっかけは「君と羊と青」という曲がNHKサッカー中継のテーマ曲に選ばれたことでした。RADWIMPSも野田洋次郎の名前も知らないという人も、この曲には聞き覚えがあるはず。
曲も良いですが、見事な青に彩られた歌詞が素晴らしいと思います。
「君と羊と青」http://www.youtube.com/watch?v=3RvcnDtYV_g&feature=fvwrel
サッカー日本代表チームのイメージカラーは青、この曲を選定した人の感覚は正しい!
長女の影響で次女もRADが好きになり、さらに三女にも伝染して、これは先週の小学校卒業式に飾られていた三女の習字です。
君と羊と青 = 群青(ぐんじょう) という仕掛け。
三女が考え付いたわけではなく、RADの上記PVの最後の方に出てきます。
野田さんの詞には、こういう言葉遊びが多いのですが、それが単なる遊びで終わっていないところに深さがあります。
さだまさしさんは職人的に極めて有能な日本を代表する音楽家だと思いますが、野田洋次郎さんは世界に通用する天才だと思います。
これからが楽しみです。