左からも右からも3枚目、作品全体の中央に位置するパネルです。
サブタイトルは、
「川を遡る」
太陽の光を受けてきらめく川の流れ
川を遡る魚の群れ
”水”と”川”がテーマです。
札幌市の街中を、豊平川という一級河川が貫いています。
20数年前、その豊平川の源流近くまで登ったとき、そこで目にした清らかに透き通った流れと、それを手ですくって口に入れたときの冷たさを思い出しながらエッチングしました。
道中、カワセミが僕たちの後を追うように付近を飛び交っていました。
そのときそこに大きなイワナたちが群れを成して生息していることも確認しましたが、今でも彼らは健やかに暮らしているでしょうか。
できればもう一度会いたいという渇望と、いや誰の目にも触れることなく潜み続けて欲しいという相反する感情が絵の中で融合しています。
パネルの最下部には、先の2枚のパネルと同様の別世界があります。
植物とその足元に蓄えられる水を表現しています。
イワナの向こうには、木々の姿と共にビルの形が映り込んでいます。
川と都市の関係を表すには最良のシチュエーションです。
札幌市民190万人の水道水の98%は、豊平川の上流域から供給されています。
しかし川やダムだけが水の供給源ではありません。
山全体が貯水池の役目を果たしているのです。
豊かで清らかな水源を持つ札幌市の水道水は、「さっぽろの水」として販売もされています。
ー続く