雑記帳

タンポポの種

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自分の一番古い記憶はなんだろう?と考えてみたことはありませんか。三島由紀夫は、産湯に浸かったときのたらいの縁を覚えていると確か書いていました。僕はそこまで古くはないけれど、多分3歳頃、タンポポの種を見たのが最初の記憶です。

親の話では、僕は昼寝をしない子供だったらしく、寝かせても目を開けたままじっとどこかを凝視していたそうです。僕はこの時のある一瞬をコマ割りの画像のように記憶しています。
窓から強い光が射し込んで、その光の中をたくさんの点や線が舞っています。そこに突然大きな白いふわふわとしたものが現れます。すると僕の視界の端に小さな手が現れて空中をかき混ぜます。白いものをつかまえたかったのでしょうが、おそらく手の届く距離ではありませんでした。白いものはふわふわと天井に向かって登っていきましたが、眩しい光の縁に近づき、その外へと消える瞬間に小さな茶色い粒をぶら下げているのが見えました。
それと同じものがたくさん集まり、まあるい玉になって野原に咲いているということを知ったのは、次の年の夏だったのではないかと思います。

その記憶を再現したく、昨年取り付けた市立札幌病院の作品「時は虹色に輝く」の中で表しました。参照→ 「時は虹色に輝くーその1-」(ーその40-まであります)

 

”タンポポの種”を描いたのはこの時が初めてでしたが、エッチングの技法としてまだ確立していなかったため、何度も実験を繰り返し、随分と時間がかかりました。

いかにも空中をふわふわと漂いそうに見えるよう細い線をエッチングするには、ちょっとした工夫が必要でした。

さらにこの種の集合体である”綿帽子”を描くためには、さらなる工夫が必要でしたが、この夏にやっと技法を確立しました。

 

少々遅くなりましたけれど、2015年度ボザール教室夏期講習では「タンポポの種」のエッチングによる表し方をお教えします。

ついでに金箔の使い方も体験できます。

ただし、受講者は以前に「タンポポ」を受講した方のみに限定しています。

そうしないと、講習内容が多すぎてかなり無理があるのです。

短期講習「タンポポ」はいつでも受講できます。

初心者歓迎!全くの未経験者も歓迎!

詳細を知りたい方はFBより,または直接ボザール工房へ(011-384-8130)ご連絡ください。

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