雑記帳

パイの物語

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昨日の衆院選挙は、事前の予測どおり自民党、公明党の圧勝でした。
ではこれから何がどう変わるのかということについて、最もわかりやすいのは”パイの話”です。

ここにパイがひとつあって、お腹の空いている人が10人いるとしたら、争ってそれを奪い合い強いものが独占するというのがアメリカ的自由競争です。”強さ”には色々あって、腕力や知恵や美しさや、時には”運”の強さもありますが、とにかく一番強い1人がパイ全体の9割を手にし、残りの1割を次に強い8人でわけて、腕力も知恵もなく、美しくもなく運もない最後の1人は飢え死にするしかないというシステムです。それではあまりに酷いということで、一度独占したパイの一部を弱い者に分け与えるという慈悲の習慣があるようですが。

小泉政権が目指した日本のアメリカ化は成功し、日本にもパイを独占する勝ち組が現れ始めました。そこで「そんなやり方はやめようじゃないか、パイはできるだけ平等に分けましょう」と言って支持されたのが鳩山民主党政権だったはずです。ところが彼らが”平等に”分け与えたのは中ぐらいに強い人までであり、本当に弱い人たちは慈悲の恵みさえ断ち切られ、より過酷な状況に置かれるようになりました。現実にこの日本で、ひとかけらのパイも手にできずに見殺しにされるという信じがたい事態が起きています。

多くの人が自民党に再び政権を託すという選択をしたのは、当然の流れなのかもしれません。
ある自民党議員がTVで言っていた話によると「民主党政権は平等に配るはずのパイをどんどん小さくしてしまって配ることさえできなくしてしまった。我々はまずこのパイを大きくしようと言ってるわけです。それをどう分配するかはその後の話でしょう」ということです。
最近人気の日本維新の会の橋下徹氏も「競争は自由だ。負けた者をどうするかというのはその後で考えればいいことで」というようなことを言ってました。本当に後で考えるんでしょうか?

空腹のときに大きなパイは大変魅力的です。しかし大きなパイを作るためには、大量の材料を必要とし莫大なエネルギーも必要とします。雇用は生まれますが、効率最優先の過酷な競争に加わることによってしか職を守ることはできません。自分と家族に必要な一切れのパイを獲得するために、これからどれほどの競争をしなければならないのかということと、そこに大きく関わる原発やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の問題も考えると憂鬱な気分におちいりそうになります。

さてしかし、自分の力でどうにもできないことをうだうだ考えていたって何の得もありません。仕事にも力が入らなくなります。楽しいことを考えましょう。
もうひとつの「パイの物語」を紹介します。

                                                                       

ご存知の方も多いとは思いますが、「パイの物語(Life of Pi)」は、2001年に仏系カナダ人のヤン・マーテルによって発表された冒険小説で、翌年ブッカー賞を受賞し、世界的ベストセラーになりました。

日本では2004年に竹書房から単行本が出ており、つい先月文庫本としても出版されています。

                                                                                                             
その小説が映画化されて、来年1月に日本公開が決まりました。
    → 「公式予告編」            

実写の映画化は難しいと言われていましたが、「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞をとった台湾のヤン・リーが監督し実現しました。
3D映画としての仕上がりを、その道の第一人者と言ってもよいジェームズ・キャメロン監督が絶賛しています。

この映画の”パイ”は、もちろん自民党が言うところのパイではなくて、主人公のインド人少年の名前です。物語は単なる冒険漂流小説ではありません。詳しくは書きませんが、良い意味で大方の人の予想を裏切る内容だと思います。
自民党にも、良い意味で予想を裏切ってもらいたいものです。

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