フッ酸によるガラスエッチングの作業は、気温の影響を強く受けます。
温度が低いと薬品の反応が遅くなるという直接的な影響もありますが、氷点下になると蛇口が凍結して破損したり、ガラスに貼ったビニールシートが断裂するなどして、作業を中断することも多くなります。さらに、サンタクロースばりに着こんだ防寒服のせいで、肩こりや腰痛、足のつりなども起きて、昨日はついに朝から温泉へ行きました。
温泉のおかげで少々元気になったものだから、その後エッチングの作業を頑張りまして、昨日夜中にやっと7階部分が終了しました。
本来なら5階から8階まで下から順に紹介したいところですが、6階部分の作業中に前述のようなアクシデントが続いたものでこちらは仕切りなおし、7階部分が先にできました。
7階のカラーテーマは、「やさしい花ときらめく海の色」です。
この階に振り分けた色ガラスは、青紫と赤紫とピンク。
カラーコーディネーターの方から、夕焼けっぽくならないようにという要望がありました。
大丈夫です。
使用するモチーフは、”花粉、胞子、プランクトン、小さな生命体、グラデーション、流れ、拡散”です。
タイプ(大)、青紫です
”我々の意識を別の世界へと誘う透明な流れ”というテーマを設定してデザインしました。
子供のころ高熱を出すと、決まって同じ幻覚を見ました。
小さな白い粒がザーザーと音を立てながら辺りを飛び交い、最後には遠くの一点に吸い込まれるように消えていきました。
後になって気がついたことですが、その白い粒は”米”のような形をしていました。
タイプ(中)、青紫です。
米は”種”です。
種は光の粒のごとく、その形に莫大な力を宿し、過去と未来を結ぶ橋であり標識でもあります。
バックの連続した形は、綿々と積み重なるように続く時間をイメージしています。
タイプ(中)、赤紫です。
ちょうど今はスギ花粉の季節でもあり花粉のイメージは良くないのですが、地球の生命すべてにとって花の恩恵は大きく、花粉も欠かすことのできない重要な命のシステムです。
花粉に限らず空気や水の中空を飛び交う生命の種をイメージしました。
タイプ(小)、赤紫です。
胞子やプランクトンが、流に乗ってきらめきながら海を渡っていきます。
タイプ(中)、ピンクです。
このガラスは、いわゆる”金赤”と称されるもので、実際に金を使ってこの綺麗なピンクを発色させています。
参考→ 「赤と金」
「生命のスープ」とその後の微小生物世界を、暖かな金赤色の中にイメージしました。
アメーバのように見えたり、花のように見えたり、自由に連想してもらえたらいいなと思います。
ー続くー