5月5日の子供の日、我国で唯一稼動していた北海道泊村の原子力発電所3号機を定期検査のために停止しました。これで国内の原発54基すべてが現在停止中ということになります。42年ぶりのことですが、1970年の全停止のときは、日本にある原発はまだ2基でした。
泊村は、発電所の固定資産税や国の電源開発交付金により潤っており、またそればかりではなく、13ヶ月から24ヶ月毎に行われる定期検査で村に滞在する延べ数百人の関係者によっても大きな利益がもたらされています。同村は北海道内の市町村で唯一、地方交付税を受け取っていない不交付団体です。
原発稼動停止後の記者会見で泊村長は、「村の経済のために一刻も早く再稼動することを望む」とコメントしました。
原発の周辺地域では、癌の発生率が平均よりはるかに高いことをアメリカやイギリス、ドイツなど各国の研究機関が発表しています。
現に北海道でも同様の調査結果が出ています。
北海道健康づくり財団が発表したデータによると、2003年~2005年の3年間について北海道180市町村における癌の発生率を調査したところ、調査したすべての癌の種類において泊村がダントツの1位でした。
泊村だけではなくその周辺の町や村も高い発生率を示しています。
原発推進派の人々は、この結果が原発に起因するという証拠はないとしていますが、ただの偶然であるわけがありません。
もし泊の原発で福島級放射能漏れ事故を起こしたなら、その被害の大きさは容易に想像がつきます。190万人が住む大都市札幌までは直線距離で70kmほどしか離れていません。街を捨てて全員が避難しなければならなくなる可能性は大です。
ずっと小規模な事故だったとしても、北海道産のあらゆる農作物や畜産物が出荷できなくなるでしょう。数百km離れた根室や網走産のものであっても北海道という名前でひとくくりにされることは明らかです。北海道だけではなく、最大の食料生産地を失う日本全体が壊滅的な被害を受けることになります。
昨年5月26日に開催された経団連総会では、東芝や日立など原発関連企業のトップがメディアのインタビューに対し「日本に原発は必要である。世界市場の競争に勝ち、日本の経済発展を維持するためには今後も原発を増設、稼動し続けなければならない」という趣旨のことを口を揃え答えていました。世界を見据えて壮大なことを考えているように聞こえますが、内容的には人口1800人の泊村の村長の発言と変わりありません。人類の未来も世界の環境問題も人々の健康も子供たちの幸福も関係なく、現在の自分たちの財布の中に金を落として、より贅沢な暮らしをすることが最大の目的であると公言しているようなものです。
あの悲惨な大災害の直後ですらこの発言です。今年の総会ではどうなることでしょうか。
クーラーのない夏は大変ですよ、という電力会社の脅しが効いてきたのか、最近は僕の周辺にも原発を容認しようという人が増え始めてる気がします。放射能だらけの地球になろうと、白血病や心臓病の子供たちがどれほど増えようと構わない、今の生活を維持することが大事だと考える人を説得することは諦めました。しかし、正確な情報がなくて迷っているという方は、先に紹介した映画「チェルノブイリ・ハート」を是非ご覧下さい。
できればもう1作「100,000年後の安全」という映画も見ますと、原発の問題点をより深く知ることができます。
どちらもTSUTAYAで借りられます。