雑記帳

花は歌う

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過酷な冬でした。
北海道では今冬32人の死者を出しました。過去最悪です。
一家4人車の中で亡くなった方々、自宅まであとわずかというところで力尽きた若い女性、娘の命を守り自らを犠牲にしたお父さん、誰もが今年の春を迎えられないなんて思いもしなかったことでしょう。

そんな人間の営みなど全く意に介さぬかのように、雪が解け、土は匂い立ち、これから一斉に花が咲き始めます。
我が家の庭に最初に姿を現すのは福寿草、それから水仙とクロッカス、少し遅れてタンポポやデイジーも加わり、ほぼ同時にスズランやチューリップも 咲き始めて、小さな庭は瞬く間に春真っ盛りとなります。

今年最初の展覧会は、花をテーマにした作品を展示することにしました。これからやってくる北海道独特の美しい春を見ることができなかった人たちへ、花束を手向けるつもりで作りました。エッチングのシートカットをしながら、花が歌っているように描きたいと思いました。

ハイネの詩集「歌の本」の中に”抒情插曲”という詩があります。以下、全69節の内の最初の2節だけをご紹介します。


たのしい春がやつて來て
いろんな花がひらくとき
そのときわたしの胸からも
愛のおもひが萠え出した

たのしい春がやつて來て
いろんな小鳥がうたふとき
こひしい人の手をとつて
わたしは燃ゆるおもひをうちあけた


わたしのあるい涙から
いろんな花が咲いて出る
そしてわたしのため息は
あの夜鶯《うぐひす》の歌となる

おまへがわたしを愛するなら
この花をみなおくりませう
そしておまへの窓のそとに
夜鶯《うぐひす》の歌はひゞくでせう

 
(生田春月 訳)

画像は、エッチングしたパーツを並べたものですが、これからブーケを作るように花を選び束ねて20数点の作品に仕上げていきます。

展覧会のタイトルは「花は歌う」としました。
下記の日程で、いつもの2箇所で開催します。
お近くの方はどうぞご来場ください。

4月 9日(火)~  18日(木)    ウッドいのうえ(江別)

4月22日(月)~5月25日(土)   ギャラリー村岡(函館)

 ー続くー

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