雑記帳

Elefante Giallo(黄色い象)ーその11ー

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エマイユ焼成後の炉を開けるときは、期待と不安で少々緊張します。陶芸ならば、思いもよらぬ”景色”が現れて素晴らしいものができた、なんてこともあるようですが、ステンドグラス絵付けにそれはありません。思いもよらぬ焼成結果は即失敗を意味しており、それまでどれほどの時間をかけていようと、最初に戻ってガラスカットからやり直し、ということになります。

で、結果は?

完璧!!!(と、うまくいったときは心の中で叫ぶことにしています)
強いて言うなら、地色の青にエマイユを重ねた部分の発色が強すぎるかもしれません。ほとんど黒色に見えます。しかし、青色をエッチングで薄くした部分の薄緑は綺麗に発色しておりOKです。象の腹の下の黄色を明るくしたことも良かったと思います。この方がより原画に近いです。
通常ならこれで終わりですが、あとひとつステンドグラスらしい表現を加えることになりました。

高梨君の原画では、設置場所の溝の深さを計算していて、設置後に見えるガラス面の端まで青色にするように描かれています。しかし何気なく描き殴った結果できた縁の形が面白いし、象の形とも響き合ってる気がするので、これは残そうよと提案しました。上記の焼き上がり完成画像をよく見ると、ガラスの縁があり、そこから内側に5㎜~10㎜幅の透明部分が青色を取り巻いているのが分かると思います。縁の形としては面白いのだけれど、実際にこれをこのままドアに取り付けたなら、透明部分から入る光が強すぎて象の形や白抜きの文字を目立たなくしてしまいます。

そこでこの明るすぎる縁から入る光を制限することにしました。グリザイユ絵付けで塞ぐ手もあるけれど、今回僕が提案したのは「金箔貼り」です。金箔が透過光を防いでくれるのはもちろんですが、”反射”という要素により、レストランの入口に適した特別な効果をもたらしてくれるという確信があります。

―続く

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