金箔をステンドグラスに使うのは、あまり一般的なことではありませんが、僕は1991年に札幌地下街ポールタウンに設置した作品「夏の星座~アンドロメダ」に初めて使用して以来、何度か使用してきています。いずれも”反射”という特殊な効果を期待できる設置場所でした。
「夏の星座~アンドロメダ」(部分)
今回も、その設置場所の目的を考慮し、光の状況を想像すると、金箔が特別な効果を上げるだろうと思われます。
金箔にも色々な種類がありますが、水色、純金、プラチナの三種を混合して使用することにしました。わずかな色味の違いが、金色の輝きに微妙な変化をもたらし、より人間的な温もりを感じさせるはずです。
金箔を貼る部分に、アラビアゴムを溶かした液を薄く塗ります。アラビアゴムは、アカシアの樹脂を乾燥させたもので、吸水するとゼラチン状になり、糊として使うことができます。美術の世界では、ごく一般的に使われる材料ですが、グミなど食品の材料としても使われています。
アラビアゴムが乾かぬうちに、金箔を貼っていきます。均一に貼ると面白みがなくなるので、多少の隙間を作るように散らします。
鼻息で吹き飛ぶほど軽いため、竹のピンセットを使って慎重に作業します。貼り終わったら、用意しておいた2㎜厚の透明ガラスを被せ、銅製の粘着テープで周囲を包み込んで、2枚のガラスを一体化させます。こうすることで金箔はガラスとガラスの間に封じ込められ保護されることになります。
―続く