グリザイユによる線描きが終わったら、ガラスを焼成します。
使用するのは、ボザール工房を立ち上げて以来30数年間、共に働いてきた電気炉です。
かなりくたびれています。何度か故障し、3年前にはついに手放そうとしたこともありましたが、結局は修理して今も使っています。参照→「電気炉新調!」
棚板に消石灰を均等に敷きつめます。そうすることで、ガラスが棚板に焼き付くのを防ぐことができます。
棚板にガラスを乗せまして、
炉の中へ。
グリザイユ絵付けの焼成温度は650度です。この温度はアンティックガラスが溶け始める温度であり、同時にグリザイユがガラス化する温度でもあります。溶けかかったガラスに、ガラス化した酸化鉄の半分ほどが浸み込んで一体化することにより焼成が完成します。
しかし、ボザール工房の電気炉の設定温度は630度。この設定で内部は650度になります。機器を調整して数字を一致させることは簡単にできますが、あえてそれをせずに30数年間使い続けています。
電源を入れた時、炉内温度22度、室温と同じです。このあと2時間ほどかけて630度になったら、自動的に停止します。
―続く