雑記帳

ステンドグラスの強度ーその6-

2015年11月11日
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ステンドグラスの耐久性に関しては、正しい方法で作ったなら100年はもつということを歴史が証明しています。100年というのは鉛の寿命ですから、100年毎に新しいケイムで組みなおせば、数千年はもつでしょう。ガラスは地球上にある物質の中で最も経年変化しない物質とも言われており、ひょっとすると数万年も数十万年も持ちこたえるかもしれません。

”僕が作ったステンドグラスは、最低でも100年後までそのままの状態です”というのを信条として制作してきました。しかしある時、大手ハウスメーカーの人から「建物が50年しかもたないのに、ステンドグラスだけ長持ちしてもしょうがないでしょ」と言われたことがあります。また広告会社の人からは「ディスプレイに使うんで、3年経ったら廃棄するからその分安くしてください」と言われたこともあります。もっと驚きだったのは、同業者の人が「うちは10年くらいで壊れるように作ってる。10年後には修理の仕事がくるからね」と真顔で言ったこと。冗談だと思って笑ったら、気まずい雰囲気になりました。

ステンドグラスが盛んに作られた中世ヨーロッパでは、労働基準法もなく、建築に関わる様々な法律もなく、予算や納期も未定のまま工事開始、工事のための村を作り工場を作り、生まれてから死ぬまでひとつの建築物に専念するのは当たり前、先祖代々同じ村で同じ建築に携わっているなんてこともざらにあったはず。

例えば、ユネスコ世界遺産のランスノートルダム大聖堂は、1211年に着工し、1475年の完成まで264年を要しています。

そんな時代に確立されたステンドグラスの作り方は、数百年後の現在でもほとんど変わるところがありません。

画像は、2012年にボザール工房の研修旅行で訪れたランスノートルダム大聖堂です。

一方、建築の技術は目覚ましい発展を遂げて、工期も飛躍的に短くなりました。ステンドグラスの注文が来るのが遅いと、建物の完成時に間に合わないという事態も起きています。ある設計士が言いました「予算と納期に見合う仕事をするのがプロってもんだよ」。また役所の建築課では「デザインはどうでもいい。我々が関与するのは、安全性と価格だけだから」と言われ、大きな現場の納期に間に合わなくなりそうになったときには、契約違反時の遅延料を記した表がゼネコンからFAXで送られてきました。

すべてが金!金!金!です。旭化成建材の偽装事件も、予算と納期がせめぎ合う、そんな状況のなかで起きたことと想像がつきます。当分は変わりそうにないこの世の中で、自分はどうするのか、ものつくりの姿勢をどこまで貫くことができるか、試されている気がします。

ー終わり

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