雑記帳

着想と技術の密接な関係

2013年7月7日
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今年も行ってきました。
札幌平岡高校学校祭です。
この学校では創立当初より、ステンドグラス制作が学校祭学級対抗コンテストの種目のひとつになっており、数年前から審査員として呼んでいただいてます。
<過去の関連ブログ>
2010年 「芸術から学ぶこと」
2011年  「選ぶ、落とす、拾う」
2012年 「”模倣”と”引用”」

高校の3年間って、人間が子供から大人へと移り変わる劇的変化の時期ですよね。1年、2年、3年と作品を見ていくと、その急激な変化がはっきりと見て取れます。簡単に言ってしまえば、1年生はファンタジー(空想)、2年生は混乱と背伸び、3年生は自分と他者の関係(現実)を表現しようとする傾向があります。もちろんそんなに簡単に分けることはできず、かなり大雑把な傾向です。

技術的には、頭と手の関係が次第に密接になり器用さが増す時期ですから、1年生と3年生の仕上がり具合の差は歴然としています。

借り物ではない、自分の周りの現実を認識することにより得た着想は、他人の共感をも得やすいものです。さらにそれを表現する技術が備わっているとなればどうしても圧倒的に3年生が有利となるのはやむを得ません。

そんなわけで今年も3年生が金銀銅の3賞を独占しました。


金賞に輝いた3年1組の作品「Adam・Eve」。

旧約聖書の「アダムとイヴ」から題材をとっているわけですが、登場人物は自分たちでしょうか。

上下のレタリングが踊るように楽しく描かれています。

色調は淡く、均衡と落ち着きを表現しているようにも感じられます。

その独特の彩色方法が高く評価されました。

 

 

銀賞は3年4組「GLOBAL PEACE」。

戦争と平和、銃と花、現実世界の対立を意識し、男と女が背を向けています。

全体は明るい色彩でまとめられ、いつしかこの男女が向き合って抱擁するのではないかという予感が込められているように感じます。

イラストとしてのうまさも目立ちます。

 

 

銅賞3年2組「米国漫画×和風」。

アメコミに題材をとり、画面を擬音のロゴで飾るというのはポップアートの1ジャンルとして定着しています。

だからオリジナリティーの点では、たとえ”和風”を付け足したとしても、高い評価は得られませんでした。

しかしその構成力とカッティングや貼り合わせの技術では群を抜いており、気持ちがいいくらい完成度の高い作品となっています。

 

もうひとつ僕が一人で決定する”石戸谷賞”は1年8組「花蝶風月」。

この賞で僕はいつも技術的なうまさということをほとんど考慮しません。
つまりへたでも失敗していても良いのです。

着目するのはオリジナリティー、そして何よりも情熱です。

細かい模様をカットし続けたことによって、そこに心の中の何かを表わすことができました。
色彩の選択がそれを強調し、見る者を惹きつけます。

 

 

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