歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが先週5日亡くなられました。
僕より若い57歳でした。
6月に食道がんの手術を受け、7月に長野県で「天日坊」に飛び入り出演したのが最後の舞台となったそうです。
こういうニュースを聞くたびに思うのは、自分だって半年後にまだ生きているという保障はないということ。もちろんそれは誰にとっても同じことなのだけれど、歳を重ねる毎にその思いは強くなり、事実自分最後の日は確実に近づいています。
勘三郎さんに最後の舞台があったように、僕にも最後の作品があるわけですが、仕事の度に、これが最後となりませんようにと祈る反面、これが最後かもしれないから全力を出し切ろうとも思います。つまり僕くらいの年齢になったら、常に最後の作品と思って仕事をしなければならないということでしょう。いつかはその予測が的中するのですから。
さて、昨日設置してきた作品は、これが僕の人生最後の作品になる確率は非常に低いですが、”今年”最後の作品ではあります。
同じ江別市内のTさん宅新築。
階段の踊り場上、北向きの二連窓です。
北向き窓からの淡い光に映えるように薄色ガラスを多用し、同様に明るさを確保するため多用した白色ガラスの質感の違いを楽しむデザインです。
単調さを防ぐためにエッチングで抽象的図柄を刻み、シルバーステインの黄色を散らしてアクセントにしました。
ガラスの向こうに見えるクリスマスツリーのような針葉樹と一体化してイイ感じです。
ステンドグラスの右隣にはマチスの「青いヌード」を飾ることが決まっているため、そのときの見え方も考慮しています。
マチスの青に対して、ステンドグラスにも青を使いすぎると、互いが殺しあってしまうでしょう。
適度に青を使って、適度に他の色を混ぜることによって、マチスとステンドグラス両方を際立たせることができると思います。
この”適度に”というのが難しいのですが。
ー続くー