一昨年来、僕の周りの必需品が次々と使用不能になっています。
まず工房のストーブと電子レンジ、それから家の洗濯機と炊飯器、僕のケータイと腕時計、その後車にパソコン、カメラ、自転車と続いています。原因は様々ですが、なにせ必需品ですから、新調しないわけにはいきません。カメラを買った後ようやく落ち着いたと思ったら、先日電気炉が故障しました。
電気炉は腕時計の次に長く使い続けてきたもので、約30年の付き合いです。30年前といえば、ボザール工房を立ち上げたときです。当時はステンドグラス専用の電気炉というものがなく、一般に陶芸用の炉を使用していましたが、ステンドグラスの絵付けに必要な温度は650℃程度、陶芸ほどの高い焼成温度(1200~1600℃)を必要としません。そこで家庭用電源100Vで使えて、棚板面積が広く、当時はまだ珍しかったデジタル制御の電気炉を独自に開発することにしました。
先輩の平山健雄氏の監修で、僕は試作機を実際に使用してデータを取るということで協力しました。
そうやって完成した日本初のステンドグラス専用電気炉第一号がこれです。
10年ほど前に電熱線が切れたため自分で修理しました。
5年前には側面の鉄板に穴が開いて、これも自力で修理しました。
そして今回また断線してしまいました。
ボザール工房と共に歩み、随分活躍してくれた炉ですから愛着があります。修理すればまだ使えますが、古い車と同様あちこち傷んでさらなる故障が予想されます。思い切って新しい炉を買うことにしました。
新炉は少々ごっつい感じです。
出力が大きいので、以前の炉の半分の時間で設定温度に達します。
炉の中の温度むらも非常に少ないようです。
参考までに価格をお知らせします。
定価で約60万円です。(幸いに僕は開発にも協力したので安くしていただきましたが)
この時期手痛い出費ですが、今の仕事が絵付けに入る前にどうしても必要な設備でした。
新しい炉、これから最後までよろしくお願いします。
古い炉、これまでどうもありがとう。ご苦労さん。
余生はボザール教室生徒の家に引き取られて過ごすことになりました。
修理し、できる限りきれいにしてから見送ります。