川風便り

キスリングの灯ーその4ー

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キスリングの絵の中で最も幸福感が表現されているのは、今回の巡回展にも出品されている「サン=トロペの昼寝(キスリングとルネ)」ではないでしょうか。暖かい色調にふくよかな形、何よりもこの情景を描きたいと思ったこと、椅子に座って新聞を読むキスリングの傍らでテーブルに突っ伏して昼寝をする恋人ルネの姿、そこからこの画家の溢れるような幸福感が伝わってくると思います。この絵が描かれた1916年の前=年、キスリングはパリでルネ・グロスに出会っています。

出会ってしばらくすると二人は南仏の港町サン=トロペに滞在し、その後1917年に正式に結婚した後も南仏の都市を転々としながら二人の息子を育て、生涯を共に過ごしました。
しかし1938年~46年の間だけ、ナチスの迫害から逃れるためキスリングは、妻と子を南仏に残してアメリカに渡り、一人ニューヨークで暮らします。この間彼は多数のミモザの絵を描いていますが、それは南仏の美しい風景に対する抑えがたい憧憬と、それに重なる家族への深い思いだったに違いありません。

第二次世界大戦が終わった後の1946年、キスリングは夢にまで見た南仏に戻り、再びルネとの幸せな暮らしを始めました。そして7年後の1953年、ミモザが咲き終わった後の4月末、62歳で亡くなりました。ちなみにルネは、それからさらに7年後、64歳で逝去しています。

南フランスは、僕も大好きで何度となく訪れていますが、2月になると一斉にミモザが咲きほこり町は芳醇な香りに包まれます。抜けるような青空と眩しいほど白い雲にミモザの黄色が映えて、何とも言えない晴れやかで幸せな気持ちになります。キスリングとルネもきっと同じ感覚を味わったことでしょう。

そうだ、ミモザにしよう!
キャンドルホルダーをデザインするには、何か中核になる具体的なモチーフ(主題)が欲しいと思っていました。
ミモザに決定!

モチーフが決まると色々なアイデアが続々と湧き出してきます。
記憶の中から真っ先に浮かび上がってきた映像は”ミモザサラダ”。しかし南仏で見たことはなく、どうやらロシア発祥の料理のようです。
そんなことにはお構いなく、まずはミモザサラダを作って、それを食しながら次を考えることにしました。


モッツァレラチーズと生ハムを乗せたミモザサラダ作りました。「サントロペの昼寝」の配色に似ています。この配色は使えるな。
ほんの少しハーブを加えると南仏の香りがします。

ー続く

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