僕の仕事の9割以上はステンドグラスのデザインと制作です。今回引き受けたキャンドルホルダーはステンドグラスではないけれど、ほぼ同様の工程で納品することになりそうです。
まず注文主の要望を聞き、それから予算・納期の決定。その後デザインを提示して了承を得てから実制作に入る、そういう工程です。
注文主の要望は、キスリングと何らかの関係性があるガラス製品を展覧会のショップで販売したいとのこと、それをキャンドル作家とのコラボレーションで考えてほしいとのことでした。
委託販売なので予算の指定はありませんが、キャンドルの価格と対比して考えなければなりません。納期は展覧会開催日前日、但し会期中随時追加納品の必要あり。その他色々な状況から考えると、数千円~2万円の間で3タイプほどのバリエーションを作ろうかと思います。ある程度の数を短期間で制作する必要と、予算の関係から、量産を前提にした材料と技法を選択します。
上記の内容は、最初の打ち合わせ時にその場で考慮したことであり、結論もその場で出してすでに提案済み、了承もいただいています。上記の条件に適うガラスの加工方法は、フュージング(溶解・溶着)とスランピング(曲げ成形)だと思うので、できればその技法だけでキャンドルホルダーを作るという提案をしました。
工房に戻ってすぐにエスキスを描きました。自分だけが分かればよいメモ書きのようなものです。キャンドル作家の米澤さんもすぐに構想を練っているはずですが、キャンドルの試作品が届く前にある程度の準備をしておき、届いたらすぐにガラスの試作品を作るくらいのスピードでなければ納期には間に合いません。
キャンドルのサイズに合わせて、ホルダーも大中小三種類作ろうと思います。キャンドルを取り囲んで自立する半円形のホルダーにしたいのですが、スランピングのためにそれぞれの型が必要です。素焼きでオリジナルの型を作ることは可能ですが、完成までに2週間かかるし、素焼きの型を作るための型が必要です。または陶芸工房にろくろを借りに行くか?いくらかかるかな?もっと時間かかるかも?なんてことをグダグダ考えているうちにピカッとあるものの姿が脳裏に閃きました。直径100㎜から150㎜くらいの三種類の円筒と言えば、北海道人ならすぐに思い浮かぶアレです。
ストーブに使う煙突です。確か3種類のサイズがあったと思う。早速ホームセンターに行ってみると思惑通り直径106㎜、121㎜、150㎜の煙突が並んでいました。
素材はステンレスですから、その上でガラスを熱成形してもガラスが煙突に焼き付くことはないはずですが、ステンレスにも色々種類があるのでまずは実験、普通型ガラスをスランピングしてみました。
問題ありません。これでスランピング型の準備ができて一安心、次の工程へ。
ー続くー